2013年11月27日水曜日

被爆二世の問題は未解決ー朝日新聞を手掛かりに

今日の朝日新聞の4ページの片隅に「被団協が認定制度対案」という見出しの10行ばかりの記事がありました。原爆症認定制度の見直しを議論する検討会に報告書に関して、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)事務局長が厚生省に対案を出した、という内容でした。

「心筋梗塞や肝炎などがん以外の病気の認定の要件から、原因が放射線であることを示す「放射線起因性」を削除することを盛り込んだ」、とあります。

驚いた私は被団協事務局に電話確認したところ、記事の内容は不正確で、すべての病気に「放射線起因性」はあてはまりようになっているのに、「心筋梗塞や肝炎などがん以外の病気の認定の要件」に「放射線起因性」を新たに記すことは二重の基準になるので、その削除を求めたということでした(担当の工藤さん談)。

しかし官僚が敢えて二重の基準を設けようとしているのはなぜか、気になります。それは現在、厚生省は被曝二世の独自調査による被害の実態を受けとめようとしていないからです。悪く解釈すると、被爆二世の健康診断の結果から、「心筋梗塞や肝炎などがん以外の病気の認定の要件から、原因が放射線であることを示す「放射線起因性」を削除」しようとしているのではないかと勘繰りたくなります。

現行法改正要求から見えてくること
参考までに、「原爆被爆者に対する援護に関する法律」に対して、2011年6月に現行法改正を求めています。その中で、以下のことが記されていました。

援護施策の改善要求
 4 被爆二世・三世に対して、被爆者に準じた援護施策を実施すること。

1)被爆二世・三世に関する実態調査をすみやかに実施すること。
2)希望する二世に対して、被爆二世手帳を発行すること。
3)2)の手帳所持者の健康管理と治療・療養を国の責任でおこなうこと。

 原爆放射線が被爆者の遺伝子に影響を与えることが明らかになってきています。被
爆者は、被爆二世・三世の疾病、特にがんの罹患が急増していることに恐怖しています。被爆二世・三世の不安も増しています。被爆二世・三世に対する援護は緊急の課題です。被爆者に準じた援護施策を求めます。
(略)

6 在外被爆者に対し、その国情にかかわらず法の完全適用をおこなうこと。
 国の内外、国籍の如何にかかわらず、どこに居ても被爆者は被爆者です。国交のな
い朝鮮民主主義人民共和国を含む在外被爆者に対する援護は日本国内の援護と同等に行われなければなりません。

これは何を意味するのでしょうか?この現行法改正要求内容は、被爆二世と被団協が一緒になって被曝二世が独自調査した結果を政府は認めず、被爆二世に遺伝の問題があるということを認めようとしていないということを意味します。このことは韓国の被爆二世が日本で証言した内容と一致します。日本韓国両国において被爆二世の遺伝による疾患は被爆者としての待遇を受けていない、ということなのです。電話に出られた被団協の担当の方は、被爆者としての当然の要求はまだ国民全体の運動になっていないのですねと訊く私に、その通りです、と答えられました。
   013年7月23日火曜日
   韓国の被爆2世からの心打つ、未来に向けたメッセージ
   http://oklos-che.blogspot.jp/2013/07/blog-post_23.html

北朝鮮の被爆者問題
さらに「援護施策の改善要求 」の項で、北朝鮮に触れていることは重要です。即ち北朝鮮に帰国した広島・長崎で被爆した朝鮮人は北朝鮮の下でも日本政府の下でも十分な治療を受けられず、日本政府から受けるべき保障もされずに放置されているということを意味します。被爆一世の問題は当然のこととして、現地でも二世の問題が起きている可能性が高いでしょう。

被団協の担当者は北朝鮮当局が被害者の実態を公表していないからと答えていましたが、これは人道的な問題として国交がないところでも早急に日本政府は調査を申込み、最低でも韓国の被爆者に保障している内容を北朝鮮の被爆者にも保障すべきでしょう。ここに拉致問題を口実にすることは許されることではありません。そもそも小泉訪朝のときにこの問題を取り上げるべきであったのです。まだまだ課題は残ります。


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