2013年8月20日火曜日

台湾訪問は大きな成果ー「原発メーカー訴訟」を世界に向けて

台湾第一日目
台湾長老教会の総幹事たち、韓国からの牧師2名と会議。「原発メーカー訴訟」の協力、支援を要請。台湾の第四原発反対運動への支援、使用済み核燃料・津波・Lanyu島問題のシンポ開催を提案。日韓台の反原発運動を目指した体制作りが目的。

今日は、台湾長老教会(PCT)との会議でした。韓国からイ・デス牧師、金容福牧師も参加し、WCCの準備状況について詳細な説明をされていました。大変有意義な会議で、PCTのみなさんから暖かく向かいれられたことを心より感謝しています。

私は、以下の六つのことを問題提起し、具体的な行動を求めました。
1.台湾の第四原発(日立・東芝・三菱・GEが建設)は国民投票で廃炉を求めるものですが、どのように進展するのか、大変緊張した状況の中にあることの説明を受け、私は、第四原発を台湾イッシューにせず、アジア全体、世界全体のイッシュにするべき、そのために、世界の反原発運動をする団体や個人と力を合わせ、台湾の新聞の一面広告を実施したいと提案しました。台湾側は海外からの新聞意見は台湾への干渉と受け取られないか、また実施するとしたらいつがいいのか、などをNOGグループとよく相談して答えるということでした。

2.「原発メーカー」訴訟を台湾と一緒に進めたい、福島事故を起こした日立・東芝・GEは第四原発のメーカーでもあり、今後の台湾の運動と直結する案件であり、PCTで台湾内の原告を集める体制を作れるか、検討して欲しい。具体的には原告委任状に署名してもらいそれを日本に送るだけのことですが、全国的に署名集めをすることが第四原発反対運動の助けになると思われるからです。

3.Lanyu島の問題は危険だという日本側学者と台湾政府・電力が真っ向から対立する見解をだしているので、両者の見解を公にする調査と議論をする場をつくる。台湾は政治志向が強く、すべて国民党と民進党の対立に持ち込まれ、政権把握の対象にされる傾向があるため、教会が中心となって、あくまでも島民の不安を解消するためのシンポであって、そこで出てきたことを両党に訴えるという考え方です。

4.使用済み核燃料は台湾、日本、韓国とも数年内にそれを保管するスペースはなくなるとされているので、この問題を使用済み核燃料の埋蔵先とされているモンゴルからも人を呼びシンポを開いてはどうか。

5.台湾では津波はないと政府見解をだしているが、津波が来ると、台湾から30キロ圏内にある第一、第二原発も危険な状態に置かれるので、早急の津波に関するシンポを主催する。沖縄や日本の学者を呼んだシンポは長中期的に大変意味がある企画になると思われます。

6.「脱核アジア平和のための日韓市民西日本ツアー」への台湾の参加を検討していただきたい。9月29日ー10月5日までで、九州(福岡、玄海)、四国(松山、伊方)、祝島、広島、福井、神戸、ここからオプションで仙台、福島、東京を回ります。帰国後、詳細な資料をお送りします。原発立地地域の住民との交流をはかります。先月の韓国の23基の原発をすべてめぐるツアーは大変好評で、今回の企画になりました。いずれ、台湾ツアーも企画します。

7.会議では言及できななかったのですが、世界ヒバクシャ展として全世界の核によって被爆された人たちを対象に撮られた写真を台湾でも全国的に展示するプロジェクトをたてませんか。素晴らしいものです。京都では金閣寺でも展示されたそうです。


台湾二日目
昨日の台湾長老教会(PCT)、今日の台湾環境保護連盟(TEPU)はいずれもそれぞれの分野で台湾最大の団体ですが、「原発メーカー訴訟」の原告を募ることに全面的に賛同してくれました。韓国も同様に意思を明らかにしているので、かなりの原告の数を確保することになると思います。

李さんの説明で今進行中の国民投票がどのようなものかわかりました。政府が9月に決定しようとしている法案では、有権者の50%が集まらないとまず成立せず、また成立しても国民投票の目的の表現が二重否定的な複雑なかたちになっており、それに対して、野党の進民党は国会内で強烈な反対を展開を延期されることになりました。

一方市民の方は10万人の署名を集め、以下のような国民投票にすることを求めています。
市民運動側の要求が通れば、「第四原発の核燃料の進行、装填」に賛成か否かを問うているので、50%に満ちなくとも、結果として「勝つ」ことになるのだそうです。

(政府側)你是否同意核能四廠停止興建、不得運轉?
(市民側)你是否同意新北市台電公司核能四廠進行装填核燃料棒試運轉?

漢文を勉強しなかったことを悔いていますが、大体内容は、政府側は、あたなは第四原発の建築を停止し、運転をさせないことに同意しますか、しませんか、ということで、市民側は北台北市の台湾電力の第四原発の核燃料の進行、装填に賛成しますか、しませんか、ということになっています。

いずれにしても、台湾での第四原発を巡る闘いは台湾の国内問題として捉えず、アジア全体の問題として捉えて日本の日立・東芝・三菱・GEが作った第四原発を廃炉に持ちこもうとする市民運動を全面的に支援したいと思います。


台湾訪問3日目

台北から30キロ圏内に、第1原発、第2原発が各2基づつあり、さらに第四原発2基が
10年前にほぼ完成、これがいわゆる「日の丸原発」で、GEの下、日立・東芝・三菱の御三家が関わっています。現在、この第四原発の廃炉をめぐって熾烈な闘いがなされています。国民投票の位置付け、その内容を巡ってです。9月中には一定のめどがつくでしょう。

昨日は、台湾最大の環境団体TEPUの事務局長の李さんの案内で、みっつの原発立地をめぐり、現地の反対運動のリーダーたちに案内していただきました。また第一原発の排水が流れる海域で初めて奇形の魚を釣り上げた地元住民の自宅を訪れ、魚の標本、多くの写真を見せていただき、お話を伺いました。



台湾政府は放射能の影響ではなく、温度が高くなったために起きた現象と説明したそうですが、これが人体にどのような影響を与えるのか、また水俣のような犠牲者が出てからでないと何も対処できないのか、日本や韓国の原発立地地域の海域はどうなるのか、川崎での放射性物質を含んだ焼却灰の内海投下や汚染水の影響はどのようになるのか、いろいろと考えさせられました。

そのあと素晴らしい食事をご馳走になり、大満足です!今日は午前中にグリーンピースアジアのKさんに会って今回の台湾訪問は終わりです。大きな成果がありました。台湾のみなさん、ありがとう。

台湾最終日
韓国の金容福博士とイ・デス牧師と今回の訪台の総括と今後の運動について話し合いました。私たちの結論は、今回の訪台によって日韓台の協力関係を強化し、アジアでの反核運動を展開する礎ができたということでは一致しました。

金博士は10月から韓国の釜山で開かれる、170ヶ国5000名が参加するWCC(世界教会協議会)準備にあたってその準備の総括をする立場の方で、①ワークショップ、②対話の場、③展示場、④会議終了後の会議設定などについて熱く説明されていました。そこに私たちは「原発メーカー訴訟」問題を持込み、世界的なイッシュ―にしたいと考えています。

9月6-7日にソウルで、WCCを控えて最終的な会合をもつということで、私にも参加要請がありました。今後の様々なプロジェクトを持続可能なものにするファイナンスについても、個別対応ではなく、全アジア的な視点から対応できるような組織を作ろうという提案がありました。

2 件のコメント:

  1. 松岡加代子2013年8月21日 8:57

    台湾・韓国・日本の民衆の反原発運動ネットーワークができ、脱原発に向けて力強い一歩が踏み出されたようでとても頼もしく思います。
    先日「こんにちわ貢寮」という20年間第4原発に反対し続けている人々のドキュメント映画を見ました。祝島、下北半島、若狭の漁民たち住民たちの叫び、怒り、かなしみと重なりました。国民投票のこともそこで知りました。
    台湾の村や町で「ふくしまの女」たちに、率直に福島の現実を語ってもらう行脚はできないでしょうか?

    返信削除
  2. いいですね、実は9月29日から10月6日まで、「脱核アジア平和のための日韓市民「西日本」ツアー」を企画しています。九州(福岡、玄海)、四国(松山、伊方)、祝島、広島、福井、神戸
    ここからはオプションで、仙台、福島、東京とバスで回ります。先月、韓国の23基全部の原発立地地域を回り、現地の住民とのすばらしい交流ができました。松岡さんも部分参加でもいいので参加されませんか。

    台湾の方の参加も呼び掛けています。来年は台湾ツアーを実施したいですね。

    返信削除