2013年5月22日水曜日

雁屋哲さんの在特会批判文書を紹介しますーご本人のブログより


6月に韓国全原発地域訪問ツアーに一緒に行くことになった 寺島栄宏さんのご厚意で、<「美味しんぼ」まんがの巨匠>(寺島)、雁屋哲さんが自らのブログで記された在特会批判の文書の転送許可を取ってくださり、オクロスで掲載することを薦めてくださいました。寺島さんと雁屋さんにお礼申し上げます。(「雁屋哲の今日もまた」http://kariyatetsu.com/blog/1227.php)

なお、雁屋さんの文書にあった、在特会に触れてある「この「市民団体」とは何者だ」のURLを雁屋さんの文書の最後に挙げました。参照ください。  崔 勝久

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2013-05-04

「在特会」に自分の人権を主張する権利はない

「在特会」に自分の人権を主張する権利はないいやはや、余りのあほらしさに笑ってしまいましたね。何がそんなにあほらしく、笑えるかって、それは、在特会(在日外国人の特権を許さない市民の会)が日本弁護士連合会に人権救済を申し立てたことですよ。その言いぐさが素晴らしい。


最初は、冗談だと思ったが、どうやら本気らしい。もっとも冗談は本気で言うから面白いのだ、と言う説もある。在特会は、次のように申し立てている。


「許可を得たデモであるにもかかわらず、デモに抗議する人たちから暴行・妨害を受けたこと、「ヘイト」「レイシスト(人種差別主義者)」などと決めつけられたことが、人権侵害に当たる」幼児が大人の口まねをしてトンチンカンなことを言って大人を笑わせることってありますよね。在特会の方々は皆さん成人されているだろうに、言葉だけは大人の言葉を使っているが、言っていることが幼稚園生以下の幼児のようにめちゃくちゃなので、つい吹き出してしまう。


ただ、幼稚園生以下の幼児はまだこれから成長するので、その物言いがおかしいと言って笑っても、その笑いは心を温かくする笑いだ。私の子供たちも、幼いときには、トンチンカンなことを言って私達を笑わせてくれた。子供たちが成長した今となっては、そのトンチンカンな物言いを家族の集まりの時に持出して、「こんなことを言ったな、あんなことを言ったな」と、皆で楽しく笑い合っている。しかし、「在特会」の場合はそうは行かない。あの方たちも、あるとき、ふと自分の醜さに気がついて、真人間に戻るときがあるだろうと期待するが、今はそうではない。


鋼鉄製の鋳型のような物を頭にかぶり、その鋳型のような物が頭をぎりぎりと締め付けるので、深く物事を考えられず妄想だけが頭を埋め尽くし、その妄想ゆえに苛々して意味もなく攻撃的になる。また、一方向しか見えず、しかも見る物が全てゆがんで見える眼鏡をかけているので、物事の真実が見えず、目の前の現実が全て自分の妄想に合わせてゆがんだ形に見える。「在特会」の方々には早く真人間に戻って、そのような妄想の世界から抜け出して貰いたいのだが、今はまだ妄想の世界にどっぷりとつかって狂騒状態にある。そのような状態にある方々の言葉は、いくら幼児の言うことのように滑稽だからと笑って見過ごしてはいけない。


早く、「在特会」の方々に妄想からさめて真人間に立ち戻って頂くためにも、その「申し立て」の滑稽さを指摘して差し上げなければなるまい。申し立ての第一項、「 許可を得たデモであるにもかかわらず、デモに抗議する人たちから暴行・妨害を受けたこと」と言うのがまず滑稽だ。


「許可を得たデモ」なら、お上からお許しを頂いているから、天下御免で何をしても、言っても良いと言いたいらしい。「在特会」が、デモの最中に自分たちに反対する人間を指さして、警官に「あいつを捕まえろ」と命令口調で言うのを見たことがある。警官たちは、「在特会」に背を向け、「在特会」に反対する人達に立ち向かう。「在特会」に抗議する人達から「在特会」を守ろうとしている。しかも、警官(公安警察)は「在特会」側に立ち、「在特会」に反対するデモに参加している人の写真を盛んに撮る。何のために写真を撮るのだろう。


公安が写真を撮るのは、犯罪者の特定に使用するためだと思うが、「在特会」に反対する人々は、警察にとって、犯罪者あるいは犯罪者予備軍なのだろうか。勝手に写真を撮って、肖像権はどうなるの。これから明らかなのは、公安にとって、「在特会」より、「在特会」に反対する人達の方が公共の安寧秩序を破壊するものとして、公安警察による取り締まりの対象になると言うことだ。「在特会」のように公共の安寧を明らかに破壊している「在特会」を取り締まらずに、それで一体何の「公安警察」なのか。 小沢一郎氏は裁判で無罪になった後、検察審議会によって二度も訴えられた。小沢一郎氏を政治活動から遠ざけるための陰謀でしかないが、その際の審査申立人は、在特会の会長であり、その会長本人が検察庁特捜部に色々教えて貰っていることを自分で自分のブログに書いている。(詳しくはこの私のブログの、2010年5月4日「この『市民団体』とは何者だ」をご覧下さい)


在特会とお上の関係は大変に良いらしい。だから、「許可を得たデモ」などとお上の権威にすがるようなことを書くのだろう。安田浩一氏の「ネット愛国 在特会の『闇』を追いかけて」という本は、「在特会」だけでなく、その周辺の類似の団体(私は日本に、「在特会」以外に、これだけ嫌韓・嫌中をあおり立てる団体が幾つもあることを知って驚いた)についても書いているが、その中の団体の一つの指導者は「公安から金を貰っていた」とはっきりと安田氏に語っている。「在特会」も公安からお金を貰っているかどうかは知らない。


しかし、「在特会」に反対するデモをする人達から「在特会」を守るような姿勢をあからさまに見せ、反「在特会」の人達の写真を撮りまくる公安の姿と、小沢一郎氏に対して検察のした事とを合わせると、この国の、「検察」「警察」と「在特会」は良い関係にある事が分かる。こんな情景を思い浮かべる。子供「ざ」がいるとする。「ざ」は他に大勢の子供たちを集めて、自分たちの気にいらない子供たちにいじめを仕掛ける。その余りのあくどさに、見かねた人が「ざ」をたしなめると、「ざ」は自分を甘やかしてくれる力持ちの男にしがみついて「あいつらがボクチャンのこといじめるの」と泣く。すると、力持ちのおじさんは「安心しな、わしらが守ってやるから」と言う。 「許可を得たデモ」なのに、妨害された、と言い立てる在特会の幼児性はあまりに滑稽だ。在特会の「許可されたデモ」のおかげで被害を被っているのは在日韓国人・朝鮮人だけではない。日本人自身が困っているのだ。


東京の新大久保は大阪の鶴橋、桃谷と並ぶコーリアン・タウンのある場所だ。私の母は86歳だが、77歳を過ぎて初めて韓国に行った。それまで韓国料理を食べたことがなかった母が、最初の日から韓国料理が好きになり、それ以来外出して昼食を取るときには必ず韓国料理の店に行って、ビビンバを食べる。80歳を過ぎて、2度目に私が韓国に連れて行ったときには、ソウルは昔からのなじみの町のように生き生きと歩き回り食べ回っていた。その母が新大久保に行って見たいと言う。


私の姉も韓国料理が好きで、新大久保にも何度か行っている。ここ数年新大久保に行っていない私に新大久保の最新情報を教えてくれる。「新大久保は美味しい韓国料理の店や、韓国雑貨の店が沢山あって、韓国人は親切だし、とても楽しいところよ」と我がことのように自慢する。母が新大久保に行くとしたら当然姉に連れて行って貰うことになるが、その姉が尻込みしている。


「最近の新大久保は、大声で乱暴なことを喚いて道を通る人まで脅かす暴力団のような連中が来るから、怖くて、気持ちが悪くて、とても厭な感じ」だから、今、母を新大久保に連れて行けないと言う。こんな事を書くと「在特会」の皆さんは、してやったりと思うのでしょうね。「日本人が新大久保の韓国人外に行くのを食い止めたぞ」とね。 しかしね、韓国料理店に食材をおろしているのも、韓国料理店で働いている人達も、韓国料理店に行く人も、その圧倒的多数は日本人である。「在特会」の衆よ、あなた方の「許可を得たデモ」で、精神的に経済的に一番損害を被っているのは日本人なのだよ。「許可を得たデモ」であれば、他の人間の人権を害しても、他の人間に精神的、経済的損失を与えていいというのかい。そう言う悪質なデモは妨害するのがまともな市民の義務なんですよ。


「在特会」のデモはお上から許可を得ているようだが、我々市民は許可できないんだよ。自分たちが、多くの人に害をなしておいて、その害を防ごうとしている人達が、「在特会」の方々の人権を侵害していると訴えるとは、滑稽だ。「在特会」の皆さんは大変に勉強家で頭の良い方たちがそろっていると言うことだからこのくらいは、分かるだろう。他人の人権を害している人間に人権は認められないんだよ。あのような他人の人権を破壊するデモを始め、「殺す」とか「つるす」など、殺人予備罪、殺人教唆罪、殺人未遂罪、脅迫罪、などに当然問われるべき凶悪な言葉を他人に向けて浴びせかけた段階で、「在特会」の皆さんは人権を自ら放棄したものとみなされるのは覚悟の上のはずだ。


あなた方には人権は認められない。繰返すよ。他人の人権を害している人間に人権は認められない。「在特会」の皆さんが、韓国人・朝鮮人の人権を害する行為を妨害する反・「在特会」の人々は正しい。 訴えの第二項、「『ヘイト』『レイシスト(人種差別主義者)』などと決めつけられたことが、人権侵害に当たる」これも、滑稽だ。「ヘイト」という言葉を単独で使うと「憎悪、憎しみ」という意味の名詞でしかないので、「ヘイトと決めつける」という言い方は文法的につながらない。幼稚園児の言うことだから、そのへんてこりんな言いたいことをこちらで解釈してやる必要がある。


「在特会」がデモの際に、韓国人・朝鮮人を罵るあの言葉遣いは「ヘイト・スピーチ」である。「在特会」の行為、あるいは存在自体が「ヘイト・クライム」である。そのように批判されたことをひっくるめて、「在特会」の方々は「ヘイト」と言っているのだろう。自分と異なる人種・民族に対する憎悪を煽る演説、あるいは言説をヘイト・スピーチといい、そのヘイト・スピーチも含んだ、他人種・他民族に対する憎悪をあおり立てて、人権を侵害する行為を犯罪として、ヘイト・クライムという。「在特会」の新大久保や鶴橋でのデモ行為自体、ヘイト・クライムであり、その際に喚く言葉はヘイト・スピーチである。


それを認めないのは、「在特会」とその周辺の支持者・同調者、そして日本の警察、検察だけである。更に言うと、「在特会」の方々が野放しにされているどころか、警察に守られているこの日本という社会は、恐ろしく世界の動きから遅れているし、腐っている。欧米では長い間の人種間の争いに消耗し尽くして、互いの人種間で憎み合うことを止めようと決めた。


私は欧米崇拝主義者ではなく、逆に欧米のすることの90パーセント以上は間違っている。だから、今の世界はこのように混乱し、破滅の崖っぷちに立っているのだと思う。しかし、この人種間の争いを止めることを少なくとも公式に決めたことは、高く評価する。実際には人種偏見・人種差別は欧米で行われているが、それが公になったら差別行為を働いた人間は罰を受ける。欧米では、「在特会」のデモの際の言葉、はヘイト・スピーチ、デモ行為全体をひっくるめてヘイト・クライムとされて、「在特会」の方々は何年間か刑務所で過ごさなければならないだろう。 そして、そのようなヘイト・クライムを犯す人間は「レイシスト(人種差別主義者)」であると認めるのは、万国共通の認識です。反・「在特会」に人々に限ったことではない。「在特会」、その周辺にいる方々・同調者、日本の警察、検察は、世界基準から見ればあり得ない存在なのだ。(勿論幾つか例外的な国もあるが。)


だから、反・「在特会」の人々が、「『ヘイト』『レイシスト(人種差別主義者)』などと決めつけた」のは本当のことを言っていることに過ぎない。「在特会」の方々、その周辺の方々、皆さんは「ヘイト・スピーチ」を行い「ヘイト・クライム」を犯している「レイシスト」なのですよ。世界中どこの国の人にでも聞いてご覧なさい。「在特会」の方々は立派な「レイシスト」です。万国共通の認識だ。自分の本当の姿を指摘されて文句を言うのは、幼児がよくすることだ。 もう一度繰返すが、他人の人権を害する人間には人権は認められない。こう言うと、その人間に肉体的な危害を加えたりしても良いと言っていると思われても困る。もう少し軟らかい表現にしよう。「他人の人権を害している人間に自分の人権を主張する権利はない」 だから、今回の「在特会」の申し立て自体意味をなさないし、そのような申し立てをする権利は、「在特会」にはない。「在特会」の方々、その周辺の方々・同調者に自分の人権を主張する権利はない。 「在特会」の方々よ、早くその迷妄からさめて、真人間に立ち戻ってください。あるとき、正気を取り戻したとき、それまでの自分の行為を死ぬほど恥ずかしく思いますよ。そうしたら、反省して、それまでの償いをすればよい。早くそのような日を迎えられることを「在特会」の方々のために祈っています。 ところで、週刊朝日の5月17日号の「『星条旗』下の宰相たち」の第2回目「岸信介(上)」の最後で、「岸信介がA級戦犯として巣鴨拘置所に入れられた岸信介が起訴もされず、釈放された事について、研究者の間では、岸の利用価値を見いだしたCIAの意向によるものだとする見方が少ない」としたあと、最後の文章で「その答えを求めて訪ねた米国国立公文書館の岸ファイルは、意外なものだった」と締めくくられている。おおっ、この書き方だと、週刊朝日は、私が今まで知らなかった事実を探り当てたのかな。興味津々である。


雁屋 哲 
*(崔)2010-05-04この「市民団体」とは何者だhttp://kariyatetsu.com/blog/1227.php




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