2013年4月2日火曜日

日本の反原発運動を地域から国際連帯運動へ

日本の反原発運動を地域から国際連帯運動へ
(「市民の意見」No.137. 2013/4/1)

 崔 勝久(チェ・スング)
No Nukes Asia Actions-Japan(NNAA-J)事務局長

はじめに
市民広告の趣旨とその内容に賛同したうえで、原発に関して記された内容が日本国内のことにとどまっているのではないか、という疑問から市民の意見30の会・東京事務局にメールを送りました。

幸い、事務局からは、「原発輸出反対については私たちも以前から主張してきていることであり、海外の立地反対運動との協力等も含めて国際連帯を強化すべきとのご意見に全く異議はございません」、「3月上旬頃に予定している第3版作成の際に反映させて頂くように致します」と適切な対応を約束してくださいました。従って市民広告には原発輸出に反対する旨が記載されると思います。

安倍政権は再稼働と原発輸出を一体のものとして捉え、それを日本の安全保障と関わらせてアメリカの核の傘の下で、対北朝鮮と中国を敵対視する新たな「冷戦」を進めながら、レジューム・チェンジを実行するためにナショナリズムの強化を図るでしょう。朝鮮学校への弾圧、朝鮮人を殺せと東京や大阪のデモが昼夜公然と行われるようになってきているのはそのような流れとして把握する必要があると思われます。

そのようなときに、反原発運動を一国主義的に国内に限定していては、日本の戦後の植民地主義の実態を捉えそれと対峙する運動を作ることはできません。まさに反原発・反貧困を唱えるアジア、世界の市民とともに地域に根差した運動を進めながらそれを国際連帯運動にまで拡げる必要があると考えます。

私たちが昨年つくったNo Nukes Asia Actions(NNAA)を紹介しながら具体的な運動を提案いたします。

市民意見広告運動/市民の意見30の会・東京   事務局へのメール
「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」(CNFE)の共同代表の崔勝久と申します。私たちもみなさんの提案された市民意見広告運動に賛同し、賛同金を送らせていただきました。(第12期 市民意見広告運動  http://www.ikenkoukoku.jp)
みなさんの準備された第二案を読みまして、具体的な提案をさせていただきます。まず、「原発ゼロ」というのは日本国内だけのことをさしているのでしょうか。もしそうだとすれば、これは問題があります。

1.原発事故に国境はなく、アジアにおいて事故があった場合、近隣諸国をはじめ多くの国々に甚大な影響を与えます。
2.日本は民主党政権の時から一貫して、国内は脱原発だが、原発の海外輸出を進めると公表してきました。日本はまさに当事者国なのです。
3.日立・東芝・三菱重工という日本の原発メーカーは海外の企業と組み、もはや世界最大級になり全世界に輸出をしようとしています。それを止めさせるには、輸入を阻止しようとする海外の市民と日本の市民が一緒になって国際連帯の運動を進めるしかありません。

以上から、原発ゼロの運動は、再稼働を許さず新規の原発も建設させないという日本一国内の問題に止まることなく、国際連帯によって推進すべきものだと私たちは考えます。
リトアニアは国民投票によって日本の原発メーカーが建設しようとしているプロジェクトを国民投票で原発は要らないという意思を明確にしました。台湾では日本の原発メーカーが建設した第4原発に市民の反対の声が高まり、住民投票の準備が進められています。

同時に、使用済み核燃料に関しては、CFS(核燃料一括サービス)構想に日米モンゴルにUAE(実態は韓国?)も参加して、モンゴルでのウラン発掘、輸出、使用済み核燃料の貯蔵処分の計画が毎日新聞によって公にされました(2011年5月9日朝刊)。関係国はすべて否認し、モンゴルの大統領は国連で海外からの使用済み核燃料を持ち込ませないと宣言しました。

しかし昨年7月、政権交代のどさくさに紛れて旧政権は、小型実験炉の建設、核廃棄物の貯蔵施設建設のプロジェクト予算をわずか数時間の議論で通過させました。国内外で反対の声があがるや、政府はそのプロジェクト予算の目的を核廃棄物の貯蔵施設ではなく、研究施設に変更したまま現在に至っています。

東芝は2011.7.5付でHP上次のように発表しています。「当社は、原子力エネルギーを推進するうえで、核の安全利用と核不拡散体制の構築が重要であると考えており、CFS構想は世界的な核不拡散体制の構築という点で意義があると認識しています。」CFS構想とはアメリカが安全保障の観点から核拡散防止を掲げ国際プロジェクトとして進めようとしていたものです。

これらのことからしても、原発ゼロの運動は原発の再稼働と新たな建設の反対に留まらず、同時に原発輸出をさせないことを運動の目標として掲げるべきだということを提案させていただきます。

NNAAの設立
昨年の7月、モンゴル国会で核廃棄物の貯蔵施設のプロジェクト予算を通過させたことを知り、私はすぐにウランバートルに飛びました。現地で日本の20万人デモと呼応して日本大使館前で現地の仲間とデモをし、2011年の11月11日と同じく、2012年11月11日は日韓モンゴルの共同記者会見にとどまらず、具体的な行動を共にするネットワークを作ろうという提起に応じて、私たちは韓国、台湾を訪問して議論を重ねたうえで日本・韓国・台湾・モンゴル・アメリカで反原発運動を展開する仲間とNo Nukes Asia Actions(NNAA)を設立することにいたしました。

原子力メーカーの責任を問う裁判闘争
島昭宏弁護士は、私たちNNAAと一緒にこの秋に、福島事故を起こした原発メーカー(日立、東芝、GE)の責任を問おうとする法廷闘争の準備をされています。私たちNNAAはその裁判闘争を支援しながら、全世界から原告を募り、福島の原発事故を起こした原発メーカーの責任を問う運動を進める計画を立てています。

国策として原発輸出を謳う日本政府のバックアップを受け、福島事故を起こした原子力メーカーである日立、東芝は何の謝罪も反省の言葉もなく、海外への原発輸出に邁進しています。台湾の第四原発の日立・東芝・三菱重工・GE、フィンランドの東芝、リトアニアの日立、それにメーカーは未定ですがヴェトナム、ヨルダン、トルコでの原発建設が政府間で決められています。今後日本の原発メーカーはさらに世界最大の市場である中国、インドへ進出していくでしょう。

私たちはまもなく弁護団会議をもち、裁判闘争および運動方針をみなさんに提示いたします。どうぞ福島事故を起こした原発メーカーの社会的責任を問い、全世界の反原発を求める市民と一緒になって原発輸出を止めさせましょう。ご支援、ご協力をお願いします。

参考資料:
NNAA HP: http://ermite.just-size.net/nnaa/index.html
NNAA FB Group: http://www.facebook.com/groups/nonukesasia/?fref=ts
崔勝久のブログ:http://www.oklos-che.com/
東日本震災を「在日」としてどのように捉えるのか ―地域変革の当事者としてー
http://www.oklos-che.com/2012/01/blog-post_05.html

自己紹介:
川崎在住の「在日」2世。学生時代に「日立闘争」に出会いい、在日韓国川崎教会・青丘社を中心に地域活動を始める。住民の安全確保をめざした、災害問題、放射線量の高い焼却灰の問題に取り組む。No Nukes Asia Actions Japan(NNAA-J) 事務局長、「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」(CNFE)共同代表、「脱原発かわさき市民」メンバー。

1 件のコメント:

  1. その全過程が差別の構造に依って成り立っている原発(核利用)は、国際連帯によって世界中で廃止していかねばならない。
    福島第一原発事件において、東電・政府だけでなく、原子炉メーカーの責任を追及すること=再稼働阻止と、原発輸出阻止は一体だ。

    返信削除