2013年3月4日月曜日

癌の常識を覆した、近藤誠・中村仁一『どうせ死ぬなら「がん」がいい』をお薦め

近藤誠・中村仁一『どうせ死ぬなら「がん」がいい』(宝島新書より)

近藤誠の著作に関してはこれが5回目です。いずれもみなさん、高い関心をもたれたようです。この40年近く私は近藤誠の本を読んできました。彼の行きつく先は、「がん放置法」でした。

がんを心配されている方へー「がん放置療法」ってご存知ですか
http://www.oklos-che.com/2012/09/blog-post_27.html

今回は中村仁一さんとの対談です。お二人ともすでにご自身の著作で言いたいことは全て言い尽した、がん治療の最良の方法は「放置」である、ということで結論を出されています。従ってこの本では目新しい主張というより、これまでの経過をたどりながらお二人がご自身の医師としての経験と研究から見えてきたことを自由に話し合っておられ、お二人の気張らない、しかし自信をもった様子が窺われます。

第一章 がんの誤解を解く
第二章 医療に殺される
第三章 日本人と死
という構成になっており、「がんの誤解を解く」ということでは、多くの人がもつがんへの偏見を正しています。例えば、近藤誠の本をよく読んできた人には当然のことですが、初めての人にはショッキングな題目が並びます。

・がんが痛むのではない。治療で痛む
・抗がん剤が「効く」とは、しこりが一時小さくなるだけ
・がんの9割に抗がん剤は無意味
・胃がんも肝臓がんも放置すればラクに死ねる
・がんの集団検診をやめたら、がん死亡率が減った
・本物のがんは、見つかった時点で転移している

第二章では、
・高血圧のガイドライン操作で薬の売り上げが6倍に
これは説明が必要でしょう。1978年のWHOの基準が日本でも適用され1988年では、収縮期160以上、または拡張期95以上が高血圧の診断基準とされていたのですが、2008年では、それが140と90以上が高血圧になっているのです。それにともない降圧剤の売り上げは2000億円から1兆円になっています。

先日病院で血圧を測ったとき160と90だったので、ああよかったと言ったとたん、医師から高いですよと叱られました(笑)。

第三章では、
・がんを放っておくと家族がうるさい
・死にいく姿を見せるのは最高の「遺産」
などなど「放談」が続きます。しかしこれは単なる放談ではなく、これまで近藤誠は医学会から批判され続けられてきたのですが、150人もの「がん放置患者」を診て理論と事実が一致しているという自信に裏付けられた様子が窺えます。もはや彼と議論しようとする医師はいないようです。

私にとって近藤誠の人となりがわかったのは、彼の姉の乳がん手術がきっかけで「乳房温存療法」を進めるようになったという実話です。1983年のことです。欧米では80年代にその手術方法は普及していたそうです。近藤誠の貢献で、今では半数以上が「乳房温存療法」で乳房やリンパ節を抉り取る「ハルステッド法」のようなやり方はしなくなっているとのことです。

妻は1970年代後半に乳がんの手術を受けたのですが、そのとき私は「乳房温暖療法」についても医師から説明を受けていたことを思い出します。しかし私はそのとき欧米の実情、ふたつの手術の違い、特に移転の可能性について(乳がんとわかった段階で転移していればどの療法でも結果は同じ)説明を求めませんでした。そのことを悔います。担当医師が十分にわからなければ海外の文献にあたるべきだったのです。しかし私はがんの移転の可能性が少ないという「ハルステッド法」を薦める医師のことばに従うしかありませんでした。

近藤誠の本を読みだしたのはその直後くらいです。そして手術後の抗がん剤は意味がない(死亡率に変化がない)と知り、妻に転移しないための薬といわれていたものを止めるように助言しました。彼女は迷いに迷い医師にその旨を告げたところ、ああ、いいですよの一言でした。薬が「効く」とはどういうことか、それはせいぜい、実験で固形がんがわずかでも小さくなったこと(それも2割の人で)で薬として販売できるという仕組みであることがわかりました。

また転移とは何か、恐怖感が先走り、その意味することを調べようとしなかったのですが、初期検診で発見される「早期がん」は1センチ前後で、そこには10億もの細胞が含まれており、「がんもどき」でない癌では、間違いなく他に転移しているということも知るようになりました。

対談の相手の中村さんも只者ではありません。医学界の実態に触れ一時は「ぐれて」テレビのクイズ番組に凝ったそうです。全日本チャンピオンにもなったとのことですが、ご自身でもクイズを作るようになったとか。彼が病院の現場から老人ホームの医師になり、死にいく人を看取るなかで、がんで死ぬのが一番いい、治療はすべきでない、放置が一番いいということを悟っていかれたようです。

中村さんは何度も何度も「繁殖を終えた」後は、いつ死んでもいい覚悟をしているということを語られています。でも彼と私は5歳違い、「繁殖を終えた」自覚の無い私は、そこまではまだたどり着けませんが、癌になったらそのまま受け入れ、どうしても痛みが消えないときや、QOL(生活の質)を保つのに支障があれば簡単な治療を受ければいいとおもうようになりました。

検査をすればするほど老化現象でなんらかの癌は発見されやすくなります。しかし早期に発見されるようになったからといって、死亡率の変化はないのです。無理に人間ドックで検診を受けるのは止めましょう。どうしても調子が悪いというときに初めて病院に行けばいいのです。そして癌であることがわかったら、手術を受けないこと、抗がん剤を飲まないことです。ぴんぴんしていた方が胃がんと診断され手術を受け抗がん剤の副作用でまもなく亡くなられた例を私は何人も見て来ています。

俳優の緒方拳はそのようにして死ぬ間際までしっかり俳優業を全うしていたそうです。いつ死ぬかわからず、人間は老化は必然で物忘れが激しくなるのも当然のこと、まだしっかりと考え行動できる間にやるべきことをやり抜きたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿