2013年3月15日金曜日

中国実習生の殺害事件の背景は、日本の外国人搾取制度

日本の新聞の報道内容
「中国実習生、2人殺害容疑」「実習生、突然の凶行」(朝日3/15)

私はニュースを目にしてついに起こるべきして起こったと、最初、ニュースを知ったときに思いました。研修・技能実習生という制度は実は日本の産業で3Kといわれる、きつい・汚い・危険といわれる職場で日本人が重労働の為に人材がいなくなったところに「研修・技術」という名目で外国人労働者を低賃金で働かせる(働かせてやる?)制度なのです。

今回の事件が起こった広島市でも、カキの殻から身を取り出す「カキ打ち」を担う「打子」は欠かせないが、人口は半減しその作業を「今や多くの外国人が補っている」現状だそうです。主に中国人、フィリピン人や韓国人がその業務に携わっており、10年間で3倍に増えています。

朝日新聞は全体の90%は外国人のい凶悪な殺人事件という書き方で、残り10%くらいは背景の説明をするのですが、日本語がよくわからないための「行き違い」という捉え方で、あの朝日にして事件記者は、研究・技能実習生の制度の問題にまったく触れていません。

TVでは殺された経営者は優しい人だが、仕事の面では(日本人と同じように)厳しく指導し、それが中国人には理解できなくて犯行に及んだという報道の仕方をしていました。


事件の背景にある「研修・技能制度」何も知らなくて日本に来た「研修・技能実習生」は母国より高い賃金をもらい仮に喜んでいても、そのうち、その賃金は日本人よりはるかに安く、他の外国人がバイトで稼ぐ賃金に比べても安いということを知るようになるでしょう。

私はブログでベトナムから6000名の「原発事業実習生」を日本が受け入れたことを報道しましたが、その中でこのように記しています。

「公益財団法人国際人材育成機構は、「ベトナム・タイ・インドネシア政府直接派遣の外国人技能実習生」を受け入れることを事業内容に謳っています。3年の在留期間の間に、3名以上の規模の会社(日本人が3Kとして嫌がる職場ー崔)の斡旋をするということですが、HPでは、外国人労働者を受け入れたい会社はここに148,300円を支払い、アイム・ジャパンは技能実習生に8万円を支給するそうです。勿論、毎年諸費用を別途取っています(http://www.imm.or.jp/)。」 

 
外国人労働者の搾取の構造             
中間の公益法人が搾取して約15万円の賃金を会社側は払ているのに、公益法人は8万円しか外国人労働者に払っていないそうです。それでも「技能」を教えてやっているとか、いいカネを払ってあげていると意識から、中国人労働者を「こき使う」中で派生した事件だと私は、直感的に思いました。

労働者の問題は経営者が優しいとか、人柄がいいという問題ではなく、労働条件、即ち賃金の問題です。同一労働・同一賃金、この原則に日本の会社や経営者に立てない限り、同じような問題が起こる可能性があります。

しかし残念ながら、日本社会は非正規と正規社員の賃金格差を前提にしており、前者を不安定だが高賃金、後者を安定するが低賃金にするのでなく、非正規労働者への差別のうえで利益をあげる構造を当然視しているのです。この根本問題に公務員を含めた大手の組合はまともに取り組んだことはありません。差別の根は実に深いと言わざるをえません。

参考までに:
安倍政権の根本的な過ちーデフレ脱却と北朝鮮制裁
http://www.oklos-che.com/2013/03/blog-post_13.html

9 件のコメント:

  1. この制度が悪用されて問題視されるようになって久しいのに、いまだ放置されたままなのは納得がいきませんね。形を変えた外国人差別だと思います。脱法的に奴隷扱いさせることを可能とする制度です。

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  2. こんにちは。
    個人的な感覚に沿って申し上げますと,おそらく「この原則に立てる社会」になっていかないと思います。
    正規雇用・非正規雇用という仕組みそのものをなくさない限り,難しいでしょうね。

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  3. 崔)そうだと思います。年休、月給、日給、時給に拘らず同じ社員としての待遇を受けるべきだというご意見ですね。

    正規雇用という言葉があるから非正規雇用という言葉があり,非正規雇用という言葉があるから正規雇用という言葉がある。これが,私が知っている真理です。

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  4. ●実は,いわゆる正規労働者は,非正規労働者の上に成り立っている。私たちの暮らしも,実は,数多くの非正規労働者による恩恵を受けている。そのことを厳粛に受け止める必要がある。

    ● 次々と起る(報道される)事件が「外国人排斥」を煽るように見えて危惧を憶える。日本の現状を炙り出していると思われ、問題の根は深い。

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  5. このご指摘も重要なものであると思います。組合も、組合員、準組合員という階層化をした上で、組合員以外を排除した上で成り立っている利潤追求団体である性格もあると思います。かつてのように、平和運動とか、いろいろな政治的イッシューに取り組む性格を弱め、経済闘争さえままならない昨今ではなかったか、という気もします。組合も会社側に妥協する姿勢を強めてきた経緯はあります。利潤、生き残りが他者を排除した形、搾取する形で進む社会に、なんとも言えないいやなものを感じますね。

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  7. 福井で農業しています。
    搾取には違いないですが、割とのんびりとした作業でやっているところもあると聞いています。もともと、農家の手伝いなので、雇った人の裁量で作業内容は変わってきます。真面目な人ほど、仕事がきつくなることになると思います。人権意識などはないのではないでしょうか?
    たぶん、雇っている側に、雇用する人の権利保護の意識がどのくらいあるのか?恐らく、封建的な徒弟制度程度の認識しかないのかなと思います。
    自分は、バイトで人手をお願いするだけですが(大抵、近所の仲間でお互いお願いしたりされたり)、それでも、相場は700円から800円/時間です。作業によって、¥1000程度のときもあるぐらい。日本人ですが、公益法人の派遣に頼んでも、その程度です。大規模ではないので、のんびり作業してもらってます。外国の人に対してはさらにひどいのかもしれません。本来なら、常駐ですので、福利厚生費や宿泊費などもっとかかるんでしょうけど、安いんでしょうね。
    もともと、日本人でも農家住み込みの研修制みたいなことをやっていることもあり、それは、ほんとに食費とか、研修所の場所提供とかいう程度。そもそも、作業費なんて払ってないということもあると思います。徒弟制度と同じ。その意識で、外国の人を研修と称して雇うので、「差別」などという自覚さえないのかもしれません。
    農家は小ブルジョアというのか、雇用される人の気持ちも理解できないところがあると思います。
    雇われる人の立場にたった運動が必要だと思います。
    さらに、大規模農業そのものが、こういった搾取と収奪の制度の上でないとなりたたない構造になっているといこともあると思います。
    賃金をまともに払えば、経営がなりたたないという産業構造そのものも問いながら、差別を問わねばならないのではないでしょうか?
    根は深そうです。これから、TPPなどで労働者の保護規定など撤廃されていくと、さらに、思いやられることになると思います。
    TPP反対のなかで、人権思想も説きながら、こういった問題を農業者にも訴えていかねば、ことの本質がみえてこないと思います。

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    1. 医療関係も例外ではありません。人件費削減で真っ先に調理師は狙われて、ほとんどが委託業者に代わりました。TPPに参加すればどのようになるか心配です。

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  8. いつも、オクロス通信をお送りいただき、ありがとうございます。

     〉中国人実習生の殺害事件の背景は、日本の外国人搾取制度
    →そうだと思います。

     日本内でも、非正規労働という搾取制度が大手を振ってまかり通っています。
     先日報道された深谷正智高校の派遣教師の方は、賃金の40数%を搾取され続けていました。

     郵政でも、同じ仕事をしていながら、「非」が付くか否かで、賃金その他の労働条件が大きく違います。しかし、労働の実態を見ず、雇用の形態のみに注目するのは間違いです。非正規社員は、在職中は生活できない条件で働かされ、いざとなれば真っ先に解雇されます。
     私と同時に解雇された、同じ支店の元同僚は、昨年末から、生活保護受給を余儀なくされました。働く意志も能力をある者を、後付け就業規則で解雇し、生活保護受給に追いやる、これは、正しいやり方なのでしょうか?
     
     すべての根源は、「人の上に人を置く」という、差別にあります。「非」というひと文字が付くか否かで、最低限の生活さえ奪われる非正規労働者という存在を、基本的にはなくさなければならないと思います。

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