2012年10月2日火曜日

反原発運動には国際連帯が不可避ですー原発反対の声が小さすぎます


  NNAAは、モンゴル、韓国、日本、台湾、アメリカ(西海岸)において、現地のウラン開発、あるいは原発問題に危機感を抱いて立ち上がった市民が、戦後の「植民地主義」の象徴である原発体制を解体するため、国際的に連帯して行動しようとするネットワークです。

11月10日に「原発体制と原発メーカーの責任」を問う講演会と11月11日にモンゴル・韓国・日本・台湾・アメリカと共同で記者会見を持ちます(左チラシ参考)。

(1)3.11福島原発事故以降もアジアを中心として世界中に拡散する原発
1979年のスリーマイル島、1986年のチェルノブイリ、2011年の福島第一原発のシビアアクシデントによって、人類は原発と共存できないことがはっきりと示されました。

世界有数の地震国である日本の3.11福島第一原子力発電所事故から18ヵ月が経ちましたが、事故原因は未だ明らかにされていません。ドイツ、イタリア、スイス、ベルギーは脱原発を宣言しましたが、核兵器を開発している国々は「原子力の平和利用」を看板にして、基本的に原発推進の政策を変更しようとはしていません。アメリカではスリーマイル島の事故以降34年間、そのリスクの大きさゆえ原発の新規建設はされませんでした。しかし、現政権は日本とのパートナーシップを元に4基の原発建設許可を出すに至りました。民主・共和党の両大統領候補者はいずれも原発推進を謳っています。

また韓国は原発密度世界一であるにもかかわらず、現政権は原発倍増を図っています。さらに、世界の新規原発建設の20%を受注すると豪語しています。
原発の建設計画は、アメリカの核戦略の下で世界中に拡がりました。発展途上国のエネルギー確保という口実により、世界の原発の約半数が東北アジアに集中しています。

アジアでは日本と韓国が原発輸出を拡大することを国策として積極的に進めています。戦後アジアで経済成長してきた日本、韓国、台湾はいずれも原発大国ですが、使用済み核燃料の最終処分は具体的な場所も処分方法も見出せない状況にあります。台湾においては使用済み核燃料の量が増大し、このままでは今ある原発の稼働に影響するといわれる事態にまでなってきています。このように、いずれの国においても使用済み核燃料の最終処分に関する国民的論議は不可避です。

何十万年もの期間、核廃棄物を管理し続けるという途方もない計画、これが実現可能であると一体誰がいえるでしょうか。
さらに、現在秘密裏に進められているのが、モンゴルでのCFS(核燃料一括活用サービス)構想です。ウランの採掘、精錬、輸出、使用済み核燃料の輸入、処理、埋蔵を一貫して行なうものです。アメリカ主導の下で、日本、モンゴル、UAE (実態は韓国)がその計画を進めており、モンゴルでは今年の政権交代のどさくさに紛れ、核施設及び小型実験炉の建設予算が通過されました。 

 経済成長著しい中国やインドにおいても原発建設は急がれていますが、インドでは住民による反対運動に対する過激な弾圧が行なわれています。また、中国ではアメリカに肉薄する100基の原発を建設する予定ですが、それでも必要なエネルギーの7%にしかならないと言われており、世界の原発メーカーは中国への販売拡大に力を注いでいます。

マイクロソフト社の創始者ビル・ゲイツ氏は中国において新型原子炉開発の協議を行っています。アメリカで4基の原発建設をすることになったウェスチング・ハウス(WH)社を買収した東芝に莫大な私財をつぎ込み、小型で「安全」で廉価な新型原発をうたい文句に中国政府と契約をしました。韓国とも提携して中国への原発売込みに拍車をかけています。

(2)日本の原子力メーカーは政府の支援の下、原発輸出の拡大に全力をあげている
 日本政府は「2030年代を目標に「原発ゼロ」を可能とするようあらゆる政策資源を投入する」と発表しましたが、再稼働・再処理を認め、青森県の大間や東通原発の中断していた工事の再開を認めるなど実質的には国内的にも原発体制の持続を図っています。自民党が政権を取ればさらにその動きは速まるでしょう。再稼働と再処理は日本の安全保障と関連し、核兵器の開発と表裏一体です。

そして、原子力プラントの輸出は日本の国策として3・11以降も継続されています。その中心を担うのは東芝・日立・三菱重工です。これらの企業は自然エネルギー開発の事業に関わりながらも、一方では世界最大級の原発プラントメーカーとして、特にアジアを中心として世界中に原発を建設しようと計画し、さらにウラン採掘にも手を伸ばしているのです。

しかも、日本も韓国も原発輸出国の核廃棄物を引き取ることを約束していますが、果たして実現可能なのでしょうか。さらに、輸出国で事故が起こった場合はいかにして責任をとるのでしょうか。日立、東芝は福島第一原発事故を起こした原子炉の納入業者でありながら製造物責任を問われることはありませんでした。しかしメーカーとしての責任を逃れることはできません。

また日本製鋼所(The Japan Steel Works, LTD.) は「鋼と機械の総合メーカー」として全世界の原子炉圧力容器の80%のシェアーを占めており、事故を起こした福島第一原発の1号機から4号機までの全ての圧力容器を製造しています。日本政府は閣議決定でこれら原発メーカー、基幹部品メーカーの輸出を支援していますが、その「支援」は私たちの税金によって賄われているのです。

日本の原子力とエネルギー政策を決定するこの重要な時期に、原発輸出によって原発体制を維持、発展させようとする日本政府の方針をよしとするのか、また再稼働は、再処理は、そして核廃棄物の最終処分問題はどうするのか、これらの重要な諸問題に関して国民的な議論が必要です。

私たちは日本の原子力メーカーや関連する部品メーカーが、原発の輸出政策を採るのではなく、その優れた技術力、開発力を原発の廃炉技術開発や自然エネルギーを活用する装置・システム開発に注ぎ、人類の平和に貢献することを求めます。

日本政府は日本の高い技術を活用して世界の要望に応えて原発を輸出すると公言していますが、その要望がはたしてその国に住む人たちの要望であるのかは大いに疑問です。

日立はアメリカのジェネラル・エレクトリック(GE)社と組んでリトアニアの原発受注に成功しましたが、リトアニア国民の6割はこれに反対しています。発展途上国の人々は原発の「安全神話」を信じ込まされ、原発事故が起これば取り返しのつかない事態になること、放射能汚染がいかに深刻なものであるか、原発の実態を知らされないでいます。安全な原発など存在しないのです。

 原発体制は、経済発展を口実に、利潤と効率を優先させ、労働者の分断、抑圧、差別、被曝と貧しい地域社会の犠牲の上に成り立つものです。原発増設は地域社会の民主化と逆行し、結果として地域社会を疲弊させ内在的な発展の芽を摘んできました。原発立地地域だけでなく、3・11福島原発事故によって放出された放射性物質は数10万人の住民の生活を破壊し、住民の避難を余儀なくさせ、関東圏においても食品の放射能汚染、ゴミ焼却灰の放射能濃縮など深刻な諸問題に直面させられています。私たちは、日本のみならず、アジアが、そして全世界が原発体制から脱することに全力を尽くし、人類が平和と人間性を回復することを願い、11月11日に【NNAA11・11宣言】を採択します。

NNAA Japan 
連絡先:〒166-0003 東京都杉並区1-18-14
事務局長  崔 勝久 
NNAA-)




1 件のコメント:

  1. AYさんより

    メッセージありがとうございます。
    NNAA-JのMLに加えられ、皆さんの旺盛な活動・情報交換を読ませていただきながらもなかなかレスポンスできず心苦しく感じていました。
    おっしゃるとおりに今起きているすべてのことが、ダメ押しのようにして起きた領土問題を煽っての右コース急旋回に繋がり戦慄しています。
    崔さんが常に訴えておられるようにこの状況で原発・核廃棄物輸出を撃つことは繋がった一連のことがらの核心を突くことだと私も思います。
    私自身賛同者にならせていただくと共に周囲に賛同者を募ります。遅れてすみませんでした。


    Takashiさんより
    Dear Seungkoo, I wish to attend either of the conferences on November 10 and 11, 2012 as a scientist and a researcher of the military history. What we will face in a sense of pessimism may be too long and hard period to survive on the earth itself. The science is so tough nobody can prevent the self-proliferation and self-development. The basis is that the science is likely to live inside the h
    uman beings. If it is the case, the human beings have to control the inside of the human beings. I am not sure as a scientist, if the nature existing on the earth makes the human beings modify themselves to be reasonable and thoughtful beings, or they shall modify themselves to meet the rapid climate changes continuously going on at present and in future. Now close to 12am, hard to think deeply more. Thus, say good night. -takashi, Oct.10, 2012, at 23:52.

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