2012年4月5日木曜日

「隠された東京湾炎上」ー川崎市内への影響は?

臨海部の航空写真
「液状化で油や劇物が海に大量流出する 封印された「東京湾炎上」」というショッキングな見出しの付いた記事が、今州号の週刊誌アエラ(8月22日号)にありました。記事の内容はまさに川崎の臨海部の防災対策を求めていた私たちが危惧していた内容そのものです。
「隠された東京湾炎上」ー川崎は想定外の地震でどうなるのでしょうか
http://www.oklos-che.com/2011/08/blog-post_17.html

臨海部は人工島の間に運河が張り巡らされている
これは昨年の8月17日のブログに書いた一節です。しかし私は大事なことに気が付かないでいました。それは、「油や劇物が海に大量流出」して東京湾の運行が禁止される、その被害についてだけ言及したのですが、考えてみればその油と劇物は海にいくだけでなく、陸地の方、即ち私たちが住んでいる方に向かってくるということにはまったく触れていませんでした。そこで「市民フォーラム」の仲間で昨日、バスで臨海部に行き、油や劇物はどのような形で陸地に、即ち私たち川崎市民が住む所を襲うのか見てきました。

入り江沿いにガスタンクが乱立
臨海部は江戸時代から埋め立てを始め、明治の日清戦争のとき以来、日本の富国強兵政策の工業化の中心を担う形で本格的な埋め立てによって形成されたものです。石油コンビナート、電力発電所、化学工場が乱立する日本有数の工業地帯です。川崎市全体の20%の面積を占めます。そこに足を踏み入れるとすぐに潮の臭いと化学薬品の臭いが鼻を突きます。

パイプが縦横無尽に地上に、地下に作られており、地震が起こればどうなるのかと思わざるをえません。また大きなガスタンクが海際に乱立し、これもまた費用の関係か屋根のないものが多く、3・11のとき千葉で炎上したタンクのようになるのでしょう。


緊急時に首都圏の物資の拠点になると言われる地点


地震で島全体が海辺に動くのですから、海辺にあるタンクの油は運河に、海に流れ込み、津波とともに海も、川崎市も「油の海」になりそれが炎上します。

さらに怖いのは誘導ガスや劇物です。臨海部の化学工場で管理されてる劇物、ガスはマイナス何度と厳重に管理されているのですが、これが地震と津波で温度管理ができなくなると地上に流れ出て大爆発を起こすでしょう。それは臨海部で働く労働者の生命に関わり、同時に運河を「火のプール」にして市内に流れだし、河川(鶴見川、多摩川)を遡上して大きな被害をもたらします。


3・11で隆起した海岸


また埋め立てで作られた人工島から運河を経て陸地に戻る道路は一つしかなく、人工島に作られた工場や倉庫から逃げる術は限られています。高速道路も役に立たなくなる可能性があります。首都圏の災害時の拠点として作られた人工島上でのヘリや自衛隊が食料を備蓄するために建設された場所もみましたが、大変貧弱なもので、とても災害時に仕えるような代物ではありません。臨海部の工場群の爆発で東京湾が炎上し、運河が「火のプール」になればヘリも自衛隊の船も使いものにならず、物資を運搬することはできません。

「火のプール」になる張り巡らされた運河
それらの事故は起こらないものとされていましたが、今や3・11によって、東京湾の直下型地震、南海トラフ地震によって最悪の地震・津波を想定するべきだということが公にされています。3・11以前に川崎が公表した災害予想をはるかに上回る規模になることは確実だと言われています。
それに対する防災対策は残念ながらなされていません。国・県・市そして企業の責任に分化され全体の災害対策がまったくなされていないのが現状です。

災害対策は行政が作ってくれるものではなく、市民が要求し、行政・企業も一緒になって考え協議しながら作っていくものなのです。当然、外国人住民もまた自分と自分の家族の生命を守る為に、まさに当事者としてその協議に参加すべきです。

来年の秋の川崎の市長選に向けて、災害対策をどうすべきか、地震・津波によって日本最大級の工業地帯である川崎臨海部で起こりうる災害から現場の労働者、そして何十万人という川崎区、幸区の住民、地盤の脆弱なところに建てられている川崎中部のマンション群、災害は必ず起こると心を決めてその対策を協議すべきです。それには意見の違う人たちとの対話を進めるという、まさに日本の地域社会の民主主義の内実が問われるのです。


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