2012年2月6日月曜日

瓦礫の持込み焼却をどう考えるのかー川崎の主婦Nさんより

「脱原発かわさき市民」のメンバーの主婦Nさんの瓦礫に関するML投稿をご紹介します。東北の瓦礫を川崎に持込み焼却するな、あまりに危険だという意見がある一方、東北に瓦礫を「封鎖」してしまったら、東北の
「回復」に支障ができるではないか、むしろ基準をしっかりとつくり他地方に持ち運ぶべきではないのかという意見もあります( http://yo3only.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-bc10.html )。みなさんはどのように思われますか。Nさんへのご意見をください。海外のみなさんはどのように思われますか?

1月30日の神奈川県の瓦礫受入れ説明会に行ってきました。知事の説明、住民からの質問、両者の議論から見えてきたものがあります。私なりに整理して出してみたいと思います。

①知事が今回の瓦礫受入れの最大の根拠としているのは「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」です。福島原発事故以前につくられたもので、「1グラム当たり100ベクレル以下は通常の廃棄物であり、放射性物質として取り扱わない」というものです。

 知事は宮古市まで行き、東京都の瓦礫受入れ体制を見てきました。1時間ごとに10か所から廃棄物を採集し、それを集めて測定機で測った結果は、A:ND、B:60、C:111、D:95であった。100ベクレルは焼却後1600~3300ベクレルでしかないので、国の8000ベクレル以下という基準に合わせても心配するようなものではないということです。

 会場からは、その根拠について質問が出されました。その法律は原発から出た低レベルの廃棄物を対象にしたもので、今回のように事故で広範囲に汚染された状況で適応されるものではないのではないか、という指摘です。

 それで私は思い出したのですが、自治市民・かわさきでは「原子炉等規制法改定案」が国会に提出されたときに運営委員会で議論し、「自治市民・かわさき通信」(No.90、2005.4.5発行)で取り上げています。記事では、たとえ低レベルの放射能であっても、原発から出た廃棄物が一般廃棄物として処分・再利用されることは本当に安全なのかと問いかけ、現実に台湾のマンションで放射能汚染レベルの高いコンクリートで建てられたマンションの住民が体調を悪くした事例をあげています。

 今回は原発から出た低レベルの廃棄物だけでなく、事故によって空中に広がった大量の放射能を帯びた廃棄物の絶対量が多いだけに、法律の根拠=100ベクレルの安全性そのものを問う必要があると思われます。

②横須賀の住民からは芦名埋め立ては県内の瓦礫については協定書をかわしているが、県外についてはかわしていないと発言があり、知事もそれを認め、これからかわしていくと言っていました。

③質疑の中で明らかになった大きな問題は、焼却炉のバグフィルターの問題です。知事は(国も)「バグフィルターで99.9%以上除去できる」と明言していますが、その根拠自体がいま疑問視されているのです。2012年1月21日の東京新聞「こちら特捜部」にくわしく解説してありますが、「ダイオキシンや重金属の除去が99.9%だから放射性物質も99.9%捕集されるという論理になるのか」、「今までA自治体で測定されたセシウムの除去率99.99%というのは[安定セシウム]と[安定ストロンチウム](これについてはよく分かりません)だ」などと書かれています。

 また、会場から、取り除いた後のバグフィルターはどう処理するのかという質問がありましたが、これも大きな問題です。バグフィルターの除去率は、どのように測定体制をたてていくのかという根本問題から提起されるべきものと考えます。

④1人の母親の訴えが1番私の心に残りました。「今でも子どもたちに少しでも放射線量の高いところに行かせたくない、汚染された食べ物を食べさせたくないと心を砕いているのに、放射能に汚染されたものをこれ以上入れないで」という訴えです。被災地の放射線量が高いか低いかという問題ではないのです。会場から大きな拍手がおこりました。

⑤岩手県の環境生活部のお話も悲惨でした。昨年12月までに処理できた量は、全瓦礫435万トンのうち20万トン、4%強だということです。悪臭、害虫の発生、ほこり、夏には自然発火が3か所であり、1週間燃え続けるなど、劣悪な環境にさらされ、住民は心身を痛め復興への力が湧いてこないと言います。
 私たちに何ができるか、真剣に考えることが求められています。

川崎で何ができるのか、何をやればいいのか。

 被災地の瓦礫には、放射能のみならず、アスベスト、ダイオキシン、その他化学物質などが混在しています。これが放置されれば、住民の健康が損なわれてしまいます。速やかな処理が必要なのです。
 本来はこうした有害物質は集中管理し、拡散させないことが原則です。現地で分別撤去により有害物質を安全に管理し、その他瓦礫についてはバイオ発電施設等をつくって処理するという構想をもてば、地元の雇用創出や復興後のエネルギー対策にもつながるのではないでしょうか。

 市議の猪股さんは、昨年震災後まもなくして、(宮前区のYさんが紹介なさっているように、Tさんの知恵を借りて)この構想を川崎市に提出し、川崎市が全国の自治体に建設費用と分別要員を拠出するよう呼びかけてほしいと、概算書をつけて要望しました。川崎市はそれは時間がかかりすぎると拒否しました。猪股さんは、こんな展開になるならもっと粘り強く運動するべきだったと悔やんでいますが、今でもこの構想は有効なのでしょうか。みなさんのご意見をきかせてください。

 川崎市に瓦礫受入れについて説明会をするよう申し入れる。脱原発かわさき市民の前回定例会の後、私は川崎市でも説明会をするよう申し入れたらどうか、という提案をしました。そのときは県の説明会を川崎でも開かせるというイメージでしたが、いまは川崎市の態度を明らかにさせるという明確な目的で申し入れるべきだと思っています。

①バグフィルターの安全性について問う。
 99.9%放射能を除去できるというのは、何に基づいているのか。川崎市では、焼却炉の測定をどのようにやっているのか。測定機はどこにどのように設置されているのか。福島原発事故前の数値と後の数値を明らかにしてほしい。瓦礫を受け入れたときには、どのような測定を行うのか? 投入した瓦礫に含まれていた放射性物質の総量を調べ、実際にどのくらい除去できたのか、調べてほしい。バグフィルターはどれくらいで取り換えているのか? 取り換えた後の処理はどうするのか?

②瓦礫を受け入れるとした場合、被災地に行って分別や測定をする要員を派遣するのか? その体制は?

③瓦礫を受け入れるとした場合、焼却灰の移送をどのようにするのか?
 県の説明会では、被災地から瓦礫を運び込むルートについて質問がありましたが、焼却灰になってからの移送の方が、ベクレル値も何10倍高く、移送もずさんになるのではないかと懸念されます。また、瓦礫を運び込み焼却する労働者の労働条件も気になります。

その他、みなさんもいろいろ訴えたいこと、聞きたいことがあると思います。

瓦礫受入れの問題は、脱原発を願う人たちにも難しい問題を投げかけています。1つ1つ、向き合い疑問をつぶしていくことだと思います。私たちが要求する放射能汚染拡大を許さないという水準が、被災地の人たちの健康にもつながることだったらいいんですが。

長くなりました。みなさんのご意見を聞かせてください。

「脱原発かわさき市民」Nさんより

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