2011年12月25日日曜日

「3・11時代」公開シンポジュームに参加してー植民地主義の見直しを

公開シンポジューム「3・11時代の情報公開~原発・沖縄・日韓会談~」に参加して情報公開~原発・沖縄・日韓会談~」というタイトルで12月23日、「日韓会談文書・企画公開を求める会」主催のシンポがあり、そこで私が「原発」問題に関して何を考え、どのようなことをしているのかを話せということで、参加いたしました。会場は休日であるにも拘わらず、ほぼ満員でした。

報告はみっつで、私が「原発体制を問う」ということで話し、報告2は沖縄訴訟原告の柴田鉄治さんが「三権分立、司法のチェックは働かないのか~沖縄密約訴訟の控訴審判決」、報告3は「韓国の原発被害者を救援する市民の会」の市場淳子さんによる「日韓請求権協定で切り捨てられ続けた在韓被爆者、闘いの軌跡」でした。


私の話は改めて主催者側からの報告書が出るでしょうが、一言で言うと、植民地主義とは戦争前の過去のことでなく、戦後から現代に続いているもので、原発体制はまさにその植民地なき植民地主義であり、この闘いは内外の連帯運動によって進められるべきであるというものです。韓国、モンゴルを訪問しそこで知り合った人たちと11月11日11時に同時記者会見を行ったこと、来年の横浜の「世界会議」にはその時知り合った人たちがモンゴル、韓国から参加されるようになったことをスライドで紹介しました。集会後、多文化共生は植民地主義イデオロギーであるという私の主張に質問をされた女性がおられました。「多文化共生」のいい面だけでなく、その言葉でなされている実態を知っていただきたいという説明をしました。それ以外のことでは私の話で「目からウロコ」がとれたということでしたので、ホッとしました。

柴田さんのお話は、毎日の西山記者が日米間の沖縄密約をスクープしたにも拘わらず、密約内容よりも、女性とのスキャンダラスな情報入手方法が問われることになったのですが、9月29日に東京高裁で、国民の知る権利の重要性を認め「探してもないというのは不誠実」と国家賠償まで認めた一審判決を取消し、密約はあったことを認めながらも「ないものはない」、「密かに破棄された可能性が高い」という判決内容についての失望を強く述べられました。そもそもアメリカは既に資料を公開したのだから、一定期間経っても情報後悔しない日本は近代国家とは言えない、司法は三権分立のチェック機能を果たしていない、ということをお話されました。現在の沖縄、「在日」、原発体制などの問題、戦前の植民地支配の未処理問題、これらを統一的な視点から捉えるには、植民地主義とは何かを改めて問い直す必要があることを痛感しました。

在韓被爆者のお話をされた市場さんの報告はわたしにとってはショックでした。私は自分の不明を恥じました。「朝日の社説を批判するー元「慰安婦」問題について」 (12・19) http://www.oklos-che.com/2011/12/blog-post_19.html, 「慰安婦」問題での政府の不作為を違憲とした、韓国の憲法裁判決定の意味すること」(12・13) http://www.oklos-che.com/2011/12/blog-post_13.html
と「慰安婦」問題についての、韓国憲法裁判所の「違憲」判決を紹介したものの、そのときに在韓被爆者についても、韓国政府の不作為を違憲としたことを私は知らなかったのです。読み過ごしていたのでしょう。

日本政府は一貫して広島、長崎で被曝した韓国人(7万人と言われている)を外国人という理由で差別し続け、何年もかかった裁判で認められたことを実行するということの連続で、結局、未だに外国での治療に対しては認めていないとのことです。北朝鮮に帰国した被爆者には外交関係がないという理由で一切、責任を放棄しています。

しかし今回の韓国での「違憲判決」によって韓国政府は何らかのアクションを起こさざるをえなくなり、李明博大統領の野田首相との直談判はその一貫と思われます。ボールは日本側に投げかけられているのです。柴田さんの団体でも、韓国政府からの申し入れに「即刻、誠実に応じること」を求めています。

これは「慰安婦」問題と全く同じ構造で、事実、判決文の多くはその内容、表現まで重なっています。日韓協定で「解決済み」と日本のマスコミは報じていましたが、その協定3条で、日韓両国間での解釈の相違があった場合の「紛争解決の手続き」が明示されているのですから、韓国政府は、「外交経路を通じての解決」をはかり、それがダメな場合は「仲裁委員会」での解決を図ることを求められているわけです。

「慰安婦」も在韓被爆者も高齢で、まさに今回がラストチャンスです。市場さんは私に、反原発運動はその被爆者の問題を取り上げるのかと問われましたが、その視点が私にはなかったことを恥じながらも、今後あらゆるルートと機会を通じてその問題を訴えていくべきだと答えました。8月の韓国裁判所の違憲判決を受けて、韓国政府は動かざるをえなくなりました。いかなる理由も、その被害者達の人権、命の重さより重要なものはありません。これまで在韓被爆者の問題を取り上げてこられた方々との連携を深めながら、前に進みたいと思います。

韓国においては、「来年3月は、福島核事故1周年を迎える時です。韓国政府が時代の流れに逆行して核施設と原子力産業の拡張のため核安保サミット会議を開催するのならば、民間では、私たちの地球村の生命と安全、平和な未来を保障するために行動しなければなりません。世界の被爆者と核に反対する市民、文化人、芸術家などは2012年3月23-24日、韓国人原爆被害者とその子孫たちが数多く集中して住む「平和都市陜川(ハプチョン)」で、核と放射能被害ない平和な世の中を念願する全世界市民の希望を込めて、「2012陜川、非核・平和大会(Hapcheon Anti-Nuclear & Peace Festival 2012)を開催しようと思います。」という内容の『2012陜川(ハプチョン)非核・平和大会』趣旨文が、2011年10月17日に発表されています。

1 件のコメント:

  1. この度はご発題いただき、ありがとうございます。
     レビューを拝見しました。さっそく、ツイッターやフェイスブックで紹介させていただきます。

     私も司会をしながらいろいろな発見がありました。情報公開の次元に留まらず、原発も、沖縄も、戦後補償も共通する問題が多いということも改めて分かりました。植民地主義を克服するには多くの方々の力を合わせなければならないし、知恵も絞っていかねばならないのですが、私はそのような連帯のあり方や戦術についての講究があまりにも足らなかったと反省しました。おかげさまで実りある議論ができました。

     これからもよろしくお願いします。

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