2010年1月12日火曜日

「外国人選挙権法案 提出へ」(朝日1・12)

かねて小沢幹事長が内外で公言していたように、政府案として、外国人選挙法案が提出されることが決定したそうです。公明と共産党は賛成ですが、国民新党、みんなの党は反対、自民も大多数は反対、民主の中でも30%くらいは反対しているようです。

この選挙法案の特徴は、対象を永住権者に限定し、なお「我が国と外交関係のある国の国籍を有する者や、これに準ずる地域を出身地とするものに限定する」ということで、北朝鮮は国交がないので、外国人登録証の「国籍等」とある箇所に「朝鮮」と記されている人は対象外にするということです。「朝鮮」は国籍ではなく、北朝鮮を支持している人とは言えません。外交関係がなくとも、「台湾」は「準ずる地域」で対象にするのでしょう。

これはフェアーではありません。拉致問題や核実験の件で、北朝鮮を「敵対」した、「制裁」の対応と私は見ます。しかし本来は、植民地支配の清算という観点から論じられるべきで、北朝鮮の海外公民で日本の政治には関与しないと公言して選挙権に反対していても(内政干渉しないことを前提にしながら、この件では反対すると「内政干渉」することは矛盾しているように思えますが)、だからといって参政権の対象から「国交がない」という理由で排除することは間違いです。

また、「参政権」のうち、選挙権は認め、「被選挙権」がないことも問題だと思います。民主党内、国民新党が、この件で党を出るか、与党から外れるかと民主党首脳部が出た場合、どうなるでしょうか。恐らく、割ってでることはないと思います。徹底した反対の姿勢を示しながら、どこかで妥協をするのではないでしょうか。あるいは、この件がきっかけで、政界の大編成がはじまるのでしょうか?

この10年、公明党を中心にして外国人の参政権法案が出されてきましたが、民主党が政権をとることでようやく実現するところまで来たことは事実です。しかし、この「参政権」には反対するグループも多いようです。私は今、「参政権」に関する原稿を書いているので、いろんな関係する本を読み漁っているのですが、まさにいろんな論者が多いことに今更ながら驚いています。

妥協の産物として、この程度の内容の法案が出てきたのだと思うのですが、私としてはこれはあくまでも外国人への権利「付与」であって、日本社会のあるべき方向が論議されているとは思えません。植民地支配の清算という位置付けは全くされていませんし、住民不在の地方自治の問題点がさらに拡大されるだけになることを危惧します。

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