2009年12月30日水曜日

「本気で臨海部の未来を考える会」のブログ(12月29日)を読んでー「まちづくり」の課題について

「本気で臨海部の未来を考える会」のブログより(12月29日)を読んで。
http://www.owat.net/rinkaibu-mirai/

住民らが感じていた矛盾、そして当初の怒り、はこの「リスク産業のでっちあげ事件」とでも言おうか、それに集約されるのだと思う。なにかがおかしい。なぜ、こんなことが許されるのか。そして住民訴訟をして分かったことは、行政と議会は、「議会制民主主義」という仕組みを駆使し悪用し、財源を自由自在に私物化していたということだった。

渡辺さんの怒りは、上記の内容に集約されています。議会制民主主義という仕組みの中で行政と議会が、住民の意向を無視して、自分たちで国の意向を反映させながら推進してきたこれまでのやり方に対する告発です。指摘は正しいと思います。

「土壌汚染」を口実に、南高校校舎を解体したことに対する怒りがそこにあります。当然です。しかし現実は、渡辺さんを中心とした3年にわたる裁判闘争と住民の「抵抗」にも拘わらず、校舎は解体されました。その現実を直視すると、校舎の跡地をどう「活かすのか」という課題が浮かび上がります。それはまさに、「本気で臨海部の未来を考える会」の頭に記されている「旧県立川崎南高校の有効活用を求める」ことであり、「小田栄西地区計画の見直し」(=「浜川崎駅周辺地区」という、期限限定の、都市再生特別措置法にもとづく都市再生緊急整備地域の見直し)ということです。

南高校跡地の有効活用は、「浜川崎駅周辺地区」のみならず、渡辺さんのブログのタイトルである「臨海部」のあり方を根底的に見据えながら検討されるべきでしょう。渡辺さんの怒りは、現実的な課題として、これまで抗議の矛先を向けていた、市及び県を相手にして対話をしていくなかで止揚されていかなければならないのです。新たな闘いが来年からはじまります。毎日ブログを更新し問題提起をし続けてきた渡辺さんに敬意を表します。

『環境再生―川崎から公害地域の再生を考える』(有斐閣)を是非、お読みください。実は、川崎の「公害」問題は解決されていないことがわかります。編者・著者は川崎市の「公害」問題はまさにこれからの「まちづくり」の課題であると指摘します。しかし「まちづくり」が「持続可能な社会」(Sustainable Community)を目指すのであれば、私がその英単語を意訳したように「住民が生き延びる社会」であるべきで、宮本憲一の定義には、川崎の歴史において公害の真只中で生きてこざるを得なかった外国人の実態が見過ごされています。

臨海部の問題を具体的に考えるためには、桜本や小田、渡田などという町そのもの活性化を図るべきであり、その実践課題を行政、住民、企業、市民活動家が集い話し合う中から道筋が見えるように思えます。その取り組みを始めたいですね。

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