2009年11月3日火曜日

韓国の呉在植さんとの35年ぶりの出会い


韓国の呉在植さんとの35年ぶりの出会い

今日、東京の富阪キリスト教センターで、第一回目の市民公開文化講演会として、韓国からいらした呉在植(OH Jaeshik)さんのお話を伺いました。学生の民主化闘争の始まりで韓国ソウル大学大学院から急遽日本に戻った私を故李仁夏牧師やこの呉さんが、RAIK(在日韓国人問題研究所)の開設にあたって、主事として務めることを勧めてくださったのです。日立闘争と地域の活動をすることを条件に主事就職を承諾した私は、文字通り、「在日」問題の専従として全力をあげてそれらの問題と課題に関わってきたことをつい、先日のように思います。

呉さんは、昔と同じように温厚な顔でやさしい話し方でしたが、物事の本質を突く講演内容でした。日本のキリスト教会を中心に韓国の民主化闘争との連帯運動を背後から支援してきた中心人物であることは、知る人ぞ知るという方です。「東アジアの平和を考える」というタイトルで、北朝鮮にどのように対するべきかということから話を始められました。

6者会談というのは、それぞれがお互い20世紀の過去に戦争に関わってきたメンバーであり、未来志向の、覇権主義を乗り越える視点をもった新たなフレームでないと成功しない、敵として北朝鮮を追い込むのでなく、新たなフレームつくりの仲間として、思いやりをもって受け止めるという考えです。この新たなフレーム作りということが今日の呉在植さんのテーマでした。これは国籍や民族を超え、人間をもっとも貴重な存在とする考え方であり、「東アジアの平和」は国際政治や地理的なことにとどまらず、その考え方は地域社会や国家内部においてもその内実を問うものとしてあるということを主張されていました。

過去、日本の教会にあって韓国民主化闘争に関わったことのある人たちが多く集まり、その人たちに対して呉さんは、加害者意識も被害者意識も同じコンプレックスで、それは未来志向の新たなフレーム作りに関わるなかで乗り越えなければならないということを強調されました。50年前、平和十原則を確認し、二回目は開催されなかったバンドン会議(第一回アジア・アフリカ会議)を、近い将来、北朝鮮の平壌で、日本のリーダーシップで開催できるようにしてほしいというエールで講演は終わりました。

2時間の講演と質疑応答でしたが、久しぶりにキリスト者の会合に出た私は、川崎での闘いを温かく見守ってくださる関田さん、NCC元総幹事の東海林さん、現NCC総幹事でICUのときの後輩である飯島君、当時お世話になったNCC職員の山口さん、などにお目にかかることができました。また司会をされた方は、故鈴木正久さんのご令嬢であることを知りうれしくて名刺交換をしました。川崎では滝澤牧師との交友を深めていますが、たまには東京のキリスト者の会合にでるのもいいものですね。

また、講演会の後、講演会で挨拶をされた朴聖焌さんと、韓国のキリスト教会の現状や日本の地域社会で起きていることなどの意見交換ができたことはうれしいことでした。15年前にお会いしたときと全く変わらず、権力に阿附せず、自己保全・拡張を志向する教会への厳しい批判的な姿勢を持ち続けていらしているご様子で、何よりです。

川崎の市長選で阿部三選阻止を謳った集会には残念ながら、教会関係の方はいらっしゃいませんでした。地域から世界を見つつ、教会の人たちとも対話を進めたいと願います。

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