ということで、日本では「北朝鮮問題」とされる朝鮮半島の緊張の問題に関して、日本の植民地支配の清算の問題として、慰安婦問題と韓国人被曝者問題について触れてみます。
U.S. Confirms North Korean Offer to Talk Denuclearization
今朝のブルームバーグが伝えています。直訳すると、米国は北朝鮮が非核化の交渉の申し入れを確認する、とあります。安倍政権が圧力を加えて北朝鮮が話し合いを申し込んでくることしか政策をだせないでいるとき、北朝鮮は、中国、韓国、米国との首脳会談を具体化させています。
日本語版では、「米国は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が非核化についてトランプ大統領との会談で議論することに前向きであると認識している。米政権当局者が明らかにした。読売新聞によると、非核化には米国による体制保証を先行させることが条件になると、金委員長が中国の習近平国家主席との会談で語っていた」とあります。
長年日本の弱体化を予言してきたことが目の前に現れると複雑な気持ちです。その根本的な原因は、日本が植民地支配の徹底的な清算をしなかったことにあるのです。たまたま、朝鮮戦争以降、経済的にうまく行き始めたものだからすっかり本質的な問題から目をそらしたことさえ、わからなかったようですね。そもそも戦後の日本の主体性論の議論においても、植民地支配の清算については丸山真男、大塚久雄なども言及していません。この明治以降の富国強兵を求めて行った植民地支配の問題に対する認識の弱さこそは、日本の最大の弱点です。
特に外交問題で日本政府の脆弱性(哲学、思想の欠如)が誰の目にもわかる形で明らかになってきたのですが、しかし日本国民の間では未だに慰安婦問題の両政府の「合意」問題(韓国ではすでに国民レベルでそれがいかなる解決にもならないという認識は共有化されています)の内容、その過程さえ明らかにされていません。またマスコミも国民もそれを求めませんでした。政府の行ったことが国民に伝わらず、国民も求めないというのは民主主義の原則に反します。
また、韓国人被爆者問題に関しては、日本政府が和解を具体化するために当時の舛添要一厚生大臣が韓国人被爆者からの提訴を提案しておきながら、今になって一方的に、20年で損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」を理由に「和解」による治療費支払いを拒みました。大阪地裁も遺族側の請求を棄却しました。各マスコミは大きく伝えました、その後、具体的な進展は一切報道されていません。
慰安婦問題の解決に関しては両政府の「合意」があったということですが、それは安倍政権からの慰安婦制度を性奴隷と言わせないための戦略であり、その法的拘束力のない「合意」に署名した韓国のパク・クネ前大統領は既に市民キャンドル革命によって放逐されています。しかし日本では「合意」を守らないのは認められないという形式論だけしか語られていません。文大統領は賢明にも、日本の世論を考えたのでしょう、「合意」は破棄せず、政府レベルの「合意」ではこの問題は解決しないことを明らかにしたうえで、日本政府が誠意をもって慰安婦当事者への謝罪することを助言しました。安倍首相にその気があれば冬期ピョンチャン五輪で韓国を訪問したとき、慰安婦当事者に会うことができたはずです。
今また、新たに戦時中の韓国人労働者に対する賃金未払いの問題が韓国では取り上げられていますが、被爆者や慰安婦問題に対する日本政府の姿勢が問題であることは勿論、私は日本国民、マスコミの認識に大きな問題があると思います。
それはまさに植民地支配の清算が政府レベルでも国民レベルでもしっかりとうけとめられてこなかったことを意味します。
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