在野の研究者の山辺さんは、私の知る限り日本でただ一人、原子炉の設計ミスを唱え、現在原子炉の損傷穴から日々環境(空中及び太平洋)に垂れ流しされる放射能(水)の問題の深刻さに警鐘を鳴らし、その修理の責任がメーカーにあることを主張されています。ただし学会や法曹界から彼の意見が取り上げられることはないと聞いています。私たちの原発メーカー訴訟の控訴審において、
彼の主張を証拠として提出することを検討したいと考えています。 崔 勝久
防災日本の最大のリスクは、原子炉の損傷穴から日々環境に垂れ流される放射能汚染(水)
山辺真一
訴訟の行方を心配しております。
防災日本の最大のリスクはフクシマの後遺症、原子炉の損傷穴から日々環境に垂れ流される放射能汚染(水)です。根源汚染水の隔離=中枢の回復が放棄されている現状では、復興五輪は担保されない、避難の権利を奪われる所以はありません。
「閉じ込める役割り」を自らの安全弁圧力以下で破綻した原子炉格納容器の壁、2号機圧力抑制室の大破口=貫通穴より、桁違いの放射性物質が広範囲に放出されました。事故当時の環境拡散は暗澹たるものですが、加えて現在も修復されず、日々汚染水として流出しています。加害者の当然の義務である「原状回復」、放射性物質の逸失を「まず止める」>要は原子炉格納容器、その対策が俎上にも上がっていません。被災、被災の永続を断ち切るためには、ハードウエア破綻の現況を問い、原因究明、その修復・収束を訴えることが欠かせないと考えます。
原子炉格納容器に事故当時の貫通穴が残り100m3/日/ユニットのデブリ冷却水の流路として建屋地下(たまり水)を利用している現状が、5年、東電-経産省の間で報告されています。
(週報としてプレスリリース公開情報:下記)(注:デブリdebris、破片ー崔)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第276報)
http://l.facebook.com/l/3AQHzuTCTAQFZPyauin0NhTr4mxOHiscrR1rc4tkX7hh6-w/www.tepco.co.jp/press/release/2016/pdf/161028j0201.pdf
地下水が流出入する建屋地下は不可分の自然環境であり、デブリ冷却水との交錯は放射性物質の垂れ流しそのもの、処理状況を報告するのに「原子炉建屋地下たまり水」の試料採取・濃度の報告が欠落しています。
間接的ですがプロセス主建屋、高温焼却炉建屋の資料濃度が示され、2016直近、1.0E+07Bq/L(9/20採取)を底にプロセス主建屋は3.3E+07Bq/L(10/18採取)と上昇に転じた兆しが見えます。1.0E+07Bq/L(9/20採取)を底にプロセス主建屋は3.3E+07Bq/L(10/18採取)と上昇に転じた兆しが見えます。
デブリ冷却水が絶えないまま(凍土壁の成否いずれにせよ)遮水壁と称して建屋を遠巻きに囲えば、原子炉建屋への地下水の流出入は減衰し、希釈されない「たまり水」はデブリ冷却水の汚染濃度に跳ね上がって行くのは自明です。
建屋の外では遮水壁内側の地下汚染水濃度を上げ、さらに高濃度のまま水位が上がり、いずれ太平洋に溢れ出ることになります。海への汚染継続を「巨費を投じて一時の堰き止め」先送りをしても「中枢の垂れ流し」がそのままでは五輪まで持たない、腰を据えた復興の拠りどころになり得ません。
むしろ負の効果として、建屋内外の作業環境の悪化が懸念されます。さらに帰還を勧めようとする周辺地域の環境改善に逆行する恐れはないのでしょうか。その先に漁業・産業への負荷が減衰していく理はありません。当該管理区域が現状のアクセスさえ困難になる、終には廃炉作業をも拒んでしまう破局を迎える「恐れ」があります。
現況と対策影響を解析し、処理能力とのトータル収支及び将来見通しを数値で明らかにした説明が必要です。
安全神話を造り原発信仰を支えた「原発安全の五重の壁」がことごとく破られ、福島事故・環境汚染を生みました。想定外であったか否か、大震災、津波の結果がメルトダウン過酷事故に至った大罪はあったにしても、せめて周辺汚染を低減する「閉じ込める壁」、それこそが多重防御のアンカー、原発の立地安全を担保する「要」ではなかったでしょうか。
危機・非常時に圧力容器の破壊を防ぐ過圧安全弁を持ち、圧気を格納容器で受止め、圧力抑制室スクラビングベントにより放射性物質を低減して大気放出する。巧妙な手段が何故原子炉の損傷なく達成できなかったのでしょうか。
原子炉格納容器の破損さえ免れていれば、全ての環境汚染被害は2桁下回る。(2012東電事故報告書) 以降、デブリ冷却水が閉じ込められてさえいれば、汚染水問題も長引くものではなかったはずです。
福島原発は想定外ではない基準地震動相当の観測値でありながら、運転原子炉1,2,3号機はことごとく格納容器の「閉じ込め機能」が破損しました。そもそも非常時の対応ロジックに耐える設計強度があったのでしょうか。かつ主犯2号機は自らの安全弁設定圧力以下で破綻しました。(東電-IAEA報告に言う)現場のベント作業(人)の失敗、では説明できない現況が(東電:未確認・未解明事項の調査・検討結果で)報告されています。…立地安全を裏切る加害の直接原因を製造物責任として問うべきではないでしょうか。原発メーカーは被災の継続を目の当たりにしながら、加害者の当然の義務である「閉じ込め機能の原状回復」を放棄し、指示待ち有償の廃炉作業を続けている。再稼働には自らが遡及の警鐘を鳴らすべきではないのか。新設・輸出の前に自問すべきではないのか。「ものづくり日本の誇り」はここに無い。
強度不足、ロジック破綻の責は原発設計メーカーにありますが、ユーザー東電にも認識はあったと考えられます。即ち、メルトダウンの認識があってもなお、「放射性物質を制限するスクラビングベント」により格納容器を守り冷却継続に持ち込める楽観を政府に伝えていた。が、現場は危機に際し格納容器の損傷は避けられない葛藤の中にあった。最悪に至る認識を共有し、放射性物質の直接拡散を覚悟した避難指示/危機管理情報が発信されなかった反省を求めるべきです。(直接被災の方々、官民(東電関係者をも含む)日・米のトモダチ=被災地支援に直接加わった方々がすべからく、東電の情報隠蔽により加重の被ばく、被災を蒙ったことをもって共闘されるべきと考えます。)
東電自らも被害者、被災の側に立って加害の真相を明らかにし、将来に的を得た復旧を主導しているでしょうか。
さらに避けられなかった損傷を認識しながら、未だ目を逸らすがために100m3/日/ユニット分の強汚染水を黙認、垂れ流しを続けるのでしょうか。
東電は汚染水問題を回収処理後の表層の問題に限り、回収されない拡散を放置、改善の意思を見せていません。行政は進展しない高濃度の放射性物質を含むたまり水の状況について報告を受けながら、小手先の水位管理で環境への最悪の懸念を持たず、根拠のない経年減衰を予断し、遠巻きの遮水壁で事足れり、としています。
古今、世界に例のない「メルトダウンデブリを抱えた格納容器が閉じ込め破損をしたまま、既被災の方々に帰還・復興を強いる」…理不尽な政治を動かすには被災の方々が司法の場で真実の開示を迫るしかありません。
汚染水問題を訴えるに東電都合のデータ開示に寄っていては真相が見えず、現状は打開できません。地下水が交錯する原子炉建屋地下「高濃度の放射性物質を含むたまり水の試料採取・濃度の推移報告」を足掛かりに、根源汚染=デブリ冷却水とともに(ユニット毎)格納容器から放出する放射性物質の総量の開示を求めるべきです。
地下水による希釈後の建屋内回収及び建屋外ドレン回収量を差し引き、回収されない日々の汚染逸失量を正確に認識することがフクシマを取り戻す出発点です。
数値が明らかになれば「現状のデブリ冷却水が建屋地下を経由するフロー」が如何に不合理であるかが見えます。デブリ直接触冷却水は可能な限り原子炉内での回収を図り、まず建屋地下と外部の水密の回復、さらに加害者の当然の義務である「閉じ込め機能の原状回復」、2号機大破口他格納容器の漏えい箇所を修復し、「一次冷却水の環境隔離・閉ループ化」を訴えるべきです。
中枢を閉じた上でこそ建屋内外、周辺の汚染水処理の目処、信頼できるスケジュールが構築できることになります。
(勿論、回収されているとはいえ未来への積み残し、増え続けるタンク量も有限に解消に転じることができます)
汚染水問題は過去の経営判断や事故対応を問うものではなく、今なお続く「為さざる罪」の現行犯です。
現状・真値・真相を開示せず、中枢の破綻を放置し、修復・収束の形が見えないままでは、生活者の帰還、地域産業の回復・復興の目処さえ立てようがない。善意の復興努力が裏切られることになります。
風評被害を慮って真値を糺さなければ、アンダーコントロールを唱え世論の注目から遠ざける、切捨て先送りを旨とする未来への加害者「原発メーカー、東電及び現行行政」に加担することになります。5年、さらに取り返しのつかない時間が失われます。上昇に転じた兆しが見えます、猶予はありません。
2016/11/01 宝塚市 山辺真一
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