10代の頃の日立の就職差別との闘い(日立闘争)、入社後の日立内での経験、日立を相手にした原発メーカー訴訟の実態、在日韓国人としての生き様を現役の大学生とはなしあったことが記されています。学生の感想文は必読です。
なお12月14日は、その朴さんと私が横浜国立大学の授業で話をします。何度目かの経験ですが、『戦後史再考』(平凡社)を読んだ学生との対話はチャレンジングです。本を読み一定の背景を理解した学生が、私たちの話を直接聴き、対話をする中で、自分の生との関わりが見えはじめ、そこで出てくる言葉がとても興味深いものだからです。今度はどのような出会いになるのか楽しみです。
第7回ヒューマンライブラリー(Human Library)
-生きてる本を読んでみた-
主 催 明治大学国際学部・横田雅弘ゼミナール
会 場 明治大学・中野キャンパス
開催日 2015年11月22日(日) 9:45~18:00
【ヒューマンライブラリーとは】
2000年にデンマークで始まり世界70ヵ国以上で開催される企画です。社会的マイノリティと称される方々の「本」としてご参加いただき、来場者に「読者」として「本」を閲覧する形で、1対1の対話を楽しんでいただきます。
【ゼミ生の思い】
「本」の方々の背景は様々ですが、皆さん総じて人間的な力強さと魅力に溢れています。彼らとの対話を通して驚きや共感、多様な考えなど、皆様の人生をより豊かにする新しい感覚を持ち帰っていただけたら幸いです。
「歴史の裂け目をとらえる・日立就職差別闘争後の歩み」朴鐘碩さん 在日韓国人「朴さんは1970年の日立就職差別事件の当事者で、在日韓国人として、現代日本が抱える「人種差別」という問題と真っ向から戦いました。既成の価値観に捉われず問題意識を持つことの大切さを訴え続けています」
【あらすじ】
「当然の法理、原発、日韓・日朝関係、沖縄の米軍基地、集団的自衛権、外国人労働者・・・。日本はいくつもの解決困難な問題を抱えている。それらは、マイノリティの排除や暴力を内在する。「国民国家・植民地主義」が必然的に生み出してきたものだ。歴史から排除されてきた人々の歴史、権力に葬られた出来事、歴史の裂け目に光を当てることによって、自らの生き方を模索する。歴史は、つくられるものではなく生き方をかけてつくるもの。人権はあたえられるものではなく、勝ち取るもの。」
【参考文献】
「日本における多文化共生とは何か」新曜社 2008年
明治大学のN君から、半年前からこの企画の参加を要請されていました。N君のお姉さんは、横浜国大の加藤千香子教授のゼミに出席していました。私は加藤先生に招かれ学生たちに日立就職差別裁判闘争のスライドを観ていただき、4年近い裁判闘争を経て日立に入社し、定年まで働き、職場で経験したことを話しました。お姉さんがN君に「この企画に是非、朴さんが参加するように」と推薦してくれたそうです。
11:30~17:00まで10名近い方が私に関心を示し、途中15分の休憩を挟み、各30分間(延べ3.5h)話しました。
【参考文献】を紹介し、生い立ち、日立闘争、組合活動、職場の出来事、定年まで働き現在嘱託として原発メ-カ・日立で働き、「原発メ-カ訴訟」の原告(選定者・事務局長)として、日立の経営陣を訴えていることを話しました。差別と抑圧を基盤にした世界の原発(=核)体制を説明し、労使一体で労働者に沈黙を強いる企業体質を批判し、開かれた組織を求めた組合活動について話しました。また福島原発事故を起こした日立の会長・社長に原発事業から撤退すること、原子炉の輸出中止を求める要望書・抗議文を提出し、東京地裁に陳述書を提出したことに皆さん驚いていました。
「日立闘争」「多文化共生」に強い関心を持ち、「授業で話してほしい」という大学教授もいました。「12月14日、横浜国大の授業で話します」と語ると、「是非、参加したい」とのことでした。
紹介した「日本における多文化共生とは何か」「戦後史再考」は、売り切れました。「本」として24名が出席し、300名程の読者が参加したそうです。明治大学・横田ゼミのスタッフの皆さん、お疲れ様でした。改めて御礼申し上げます。
【「読者」からのメッセ-ジ・感想】
●本日、12:15よりお話をお伺いさせていただきました、Mと申します。本日はありがとうございました。さっそく、WEBサイトで原発メーカーに対する訴訟のことや、朴様のこれまでの歩みを拝見させていただきました。知らぬ、存ぜぬ、という態度に毅然としてもの申す朴様のお姿、一貫する姿勢が胸を打ちました。私も、日本人と韓国人のハーフとして、今後も差別のない世の中、違いを理解しあう世の中を作るために、強い決意をもって活動をしたいと思っています。今日の出会いに感謝です。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
●本日は、貴重な時間お話お聞かせ頂きありがとうございました。大学で多文化共生の授業を担当する立場でありながら、知らないことの多さ驚くばかりです。これをご縁によろしくお願いします。
●有名な日立闘争の原告のお話を聞けて光栄でした。原発、沖縄基地問題などにつながる「国民国家、植民地主義」の根本的問題をつきつけられました。本を読んで勉強させていただきます。
●10代の頃から、差別撤廃と公平のために闘い続けるエネルギ-に感動しました。著書をこのあと拝見させて頂きます。今日はありがとうございました。
●貴重なお話を本当にありがとうございました。正義や信念を大切にしていきます。
●日韓関係の改善策を模索している僕にとって、朴さんのお話は非常にタメになりました。「歴史は自分で作るもの」という言葉には感銘を受けました。貴重なお話、ありがとうございました。
●本日は貴重なお話を伺うことができ感謝しております。普段何気なく生活している中で、起こりうるテ-マ(多文化共生)として考えるきっかけになりました。ありがとうございます。
●この度は、お忙しい中、明治大学ヒュ-マン・ライブラリ-に参加して頂きありがとうございました!マジョリティとマイノリティがお互いに関心を持ち、”違い”を理解することで、もっと未来が明るくなると信じ、私は頑張ってきました。今回の経験が朴さんの人生をより充実させていくことを願っています。
●自分の持っていない考え方を、どのように語っていただけるのかを読み説きたいです。
●貴重なお話ありがとうございました!日立の裁判や原発の問題は、在日朝鮮人、韓国人の問題というよりも、日本社会の構造の問題ですね。とても衝撃を受けました。日本がもっと暮らしやすい国になりますように。
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