2014年3月18日火曜日

台湾の反原発運動のすごさから学ぼうー洪さんの講演より

3月15-16日の2回にわたり、昨年台湾で第4原発廃炉を求める25万人デモを組織した若者グループGCAAの洪申翰(Hung Sun Han)さんのお話を聴く機会がありました。
15日はNNAA主催で東京で「How are you, Gong Liao?」の映画上映と、「台湾の第4原発をめぐる闘いの歴史と現実」というタイトルでの洪さんの講演会でした。約2時間の映画はすさまじいもので、第4原発建設反対をする村の人たちがいかに長年にわたり闘い、政権交代のなかで政治に翻弄されていったのかということを描いたノンフィクションです。


その「敗北」の歴史の上で、昨年の25万デモが行われるようになってきたこと、そして今年の大雨の中での8万人デモが可能であったことを知りました。台湾の政党政治、代議制民主主義は民意を反映していない、それでは市民はどのような行動をとるべきなのか、日本に酷似した状況の中で、GCAAを中心としてデモを計画した若者が取った手段は感嘆すべきものでした。



私は講演を聴きすぐにFBで以下のようなメッセージを送りました



昨年第四原発廃炉を求める25万人デモを組織した若者集団GCAAメンバーの講演がありました。台湾の反原発運動の歴史と現況。選挙制度が民意を反映しないと考えるようになり、ガンジーから学んだ運動を展開するとのこと。権力への抗議と警告を兼ねて、国会前の交差点を短時間占拠。自主規制をしないことを前面に打ち出す。台湾の反原発運動から学ぶこと多し。彼らとの国際連帯運動の不可避せいを強く認識。




ガンジーの提唱した非協力運動は中国語で「不合作運動」と表現され、それは彼らは同じ発音の「不核作運動」として運動のスローガンにしたのです。そればかりではありません。民意を反映しない政治状況を打破するために、彼らは暴力を使わず、なおかつ権力者への抗議と警告の意味をこめて、国会前の大きな交差点で突然、そこを占拠するという行動を計画し実行しました。



洪さんはデモの責任者として当局と交渉をしてきたとのことでしたが、交差点の4分の1を使うように指示されていたらしいのですが、参加者には前もって知らせず、交差点を占拠したのです。参加した若者たちは、その占拠が何を意味するのか、明確に、瞬間に理解したことでしょう。それは当局に対する感情的、瞬間的な反発でなく、深く考察、準備された行動でした。
洪さんは翌16日、川崎で行われた「原発ゼロへのカウントダウンinかわさき」1200名集会に参加し、ステージの上で、日本の運動から多くを学んだと感謝の言葉を伝え、今後の連帯の運動を強めていく希望の言葉を述べました。


その日の夜に持たれた集会での洪さんの講演は、前日のパワーポイント資料に新たな資料を加え、原発建設によるGDP(国民総生産)を高める政府の方針に対してそれは一般の労働者の所得上昇につながらず、企業の利益になっているだけだという説明をしました。
彼らの闘いは、台湾の未来を直視し、運動のさらなる発展のための明確な戦略をもとうとしていると感じました。それは講習を通じての若者の教育、新たなイベント企画にまで及んでいました。高名な学者や運動の指導者の下す方針ではなく、自分達で考え、若い人たちの感性から学び、それを具体化していこうという運動方針です。

    (通訳のダン・ウィジさんと)



台湾の置かれている状況は中国との関係で国際的に孤立を余儀なくされる厳しいものですが、その中で安易な中国批判ではなく、毛沢東の過ちとされる文化大革命でさえ、それは近代化への批判の視点をもっていたと評価し、GDPの上昇を至高の目標とし、人間の生きる目的にしようとする政治や社会に対する今の台湾のあり方を根底から捉え直そうという考えをもっていると、私は強く感じざるを得ませんでした。


台湾の第4原発は年内にウランを使った臨界実験を行おうとしています。台湾の若者たちはその動きに反対し、新たな闘いを組もうとしています。日立と東芝は新潟の柏崎と同じ改良型の原発を日本の原発輸出第一号として台湾に持ち込みました。国境がないためにGEが受注した第4原発を日立、東芝、三菱重工が実際の建設を行いました。

新潟では再稼働を許さないとされている原発を台湾で稼働させていいものなのでしょうか。

私たちは、市民による国際連帯運動を進めない限り、国際的に、計画的に構築されてきた戦後の植民地主義である原発体制に立ち向かうことはできないと考えます。原発メーカーを保護し、全世界に拡げようというのは、日本の原賠法が全世界でもまったく同じであることがわかってきました。そこから戦後の原発体制は核による列強の世界支配という構造から生み出されたということが見えてきます。

私たちは今年の9月、台北市でNo Nukes Asia Forumを開催し、全アジアの市民が集い、台湾の第4原発の臨界実験を阻止し、第4原発を廃炉にしようという運動を支持していきたいと考えています。みなさん、一緒に参加しましょう。


1 件のコメント:

  1. GCAAの洪申翰(Hung Sun Han)さん!
    訪日してくださりありがとうございます!
    台湾の反原発運動のお話をありがとうございました!

    洪さんが動いたことが、幾重にも広がっていくことを実感しました。波紋のようですね・・。
    私はトルコからこのメーセージを読ませていただきました。

    台湾の置かれている情況の厳しさを強く感じます。
    その中で、洪さんたち若い人達や一般市民が多くの知恵を集めて、市民運動につなげていることは、本当に素晴らしいですね・・。洪さんたちの視点がしっかりしていて、素晴らしいと思います。
    更なる賛同者が増えていくものと確信します。

    9月の台北市でのNo Nukes Asia Forumに私も参加したいです。
    私も世界市民の一人として・・・。
    世界市民が反原発、反核運動に向けて、世界中で、行動が始まっていると、ここトルコから強く実感します。台湾の洪さんたちは、暴力を使わず、なおかつ権力者への抗議と警告を推し進めることに私は強く賛同します。それが一番、権力者を恐れさせることだと思います。
    私たちが市民がこの運動をすることは、人間として生きる権利と同じだと思います。

    OCHLOS(オクロス)により、台湾の青年、洪さんを私は知ることができ、とても嬉しいです。
    最近、私は、OCHLOS(オクロス)を開くたびに、今まで出会ったことがない人とたくさん出会っています。私は世界とのつながりを強く感じています。これが世界市民運動ですね。心強いです!

    今日のメーセージを読んで、私のすぐ近くにも、洪さんのような青年がいるんだと思います。
    そして、若者たちの声、市民の声に私はもっと耳を傾け、彼らの声を、心の声を聴きとらなければと強く感じました・・・。 久美子

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