2013年3月27日水曜日

放射能汚染されたゴミの焼却灰を海面投棄する川崎市の計画について―行政との話し合いをして


3月26日、川崎市の職員と、ごみねっと川崎のメンバー、市会議員のほか、市民運動に関わる人たちとの、放射能汚染されたゴミ及び下水汚泥の焼却灰を海面投棄する川崎市の計画についての話し合いがありました。

3月11日の福島事故によって北海道南から神奈川県に至る500キロの沿岸はすべて放射性物質によって汚染されました。フランス IRSN(放射線防護原子力安全研究所)によって作製された画像を見ても明らかです。

全神奈川の沿岸部も放射能汚染されています
http://www.oklos-che.com/2013/03/blog-post_24.html

砂に付着した放射性物質は風に運ばれ各地に降りすすがれたのですが、そこにはセシウムやヨウ素、その他ストロンチウムも含まれています。放射性物質は一般ゴミや下水道の中にも入り込み焼却され、その灰の中に交じりこむことになったのです。焼却灰は炉の底にたまる主灰と、それ以外の排ガス出口の集塵装置で集められた飛灰に分けられますが、前者の灰には放射性物質は少なく、今でも海面投下されています。飛灰は8000ベクレルに近いものは臨海部に保管され、最終的にどこに貯蔵されるのか未定です。

*主灰と飛灰について http://eco.goo.ne.jp/word/ecoword/E00578.html )

現在臨海部には、高線量の下水汚泥の焼却灰と飛灰は臨海部で保管されているのですが、その保管場所に限界があり、川崎市はまず4-5ベクレル程度になった飛灰にゼオライトを混ぜ東京湾の堤防の内側の内海に埋立地用に、「試験的に」ばら撒こうとしているのです。すでに議会での承認も得て、市長をトップとする対策本部の最終承認も得てこの4月から実施する計画です。

本格的に埋立地用に海面投下されるのは7月の予定らしいのですが、私たちはゴミの焼却灰を海面投下することで、主たる放射性物質のセシウムは本当にゼオライトに吸着して海中や大気中に飛ばないのか、外洋(東京湾)に放流された内水(埋立地の海水)によって生体濃縮という事態を引き起こすのではないかと危機意識を持ち、行政との話しあいの場を持ったのです。

私の知人から送られたメッセージ:
依然として東京湾内の魚介類は生息し,食に供されております.単に川崎市だけの問題ではありません.それで生業を得ているものは東京都,千葉県におります.日曜日には釣りでにぎわいます.セシウムは生体濃縮します.多くのたんぱく質はナトリウム塩ですから,セシウムに交換されます.タンパク質になったセシウムは体内に蓄積されます.タンパク質はアミノ酸というアルカリ金属を吸着する化合物です.回遊魚が汚染すれば川崎だけの問題ではありません.

行政側の主張は以下の通りです。
国の基準である8000ベクレル/kg以下であれば海面投棄してもいいとされているが、川崎市は海水浴場の100ベクレル/Lよりさらに低く、飲料水の10ベクレル/L以下の(安全な)海水にするので、市民の心配はいらない、というものです。そして町内会の会長たちに17回も説明し納得してもらったと環境委員会で報告しています。このように説明されたら町内会の会長さんは、それなら大丈夫だと、恐らく応えたでしょうね。

いくつかの質問が出ましたが、その中でもっとも重要だと思われるのは次の点です。
1.飛灰にゼオライトを混ぜ、添加率や溶出試験をして、その上で4月から実際に海面投下を試験的にはじめるのですが、それらの実験はいずれも実験室のビーカーによってなされたものです。試験的に投下をするといっても、それは本番のやり方と全く同じであって、問題があった場合、とりかえしのつかないことになってしまいます。私たちはビーカーによる実験から焼却灰を一挙に海に投下することをしないで、海にコンクリート構造物を作り、そこでの小規模な、実際の海の環境下での実験をまずやってほしいと願っています。

2.行政が焼却灰で放射性物質セシウムを吸着するものとして注目したのはゼオライトです。飛灰にゼオライトを混ぜ粘土状にして海中に沈めれば、イオン反応によってセシウムを完全に吸着するものとみているのです。実際の海中に投下されたゼオライトがどのようになるのかは、実験室のビーカーではわかりません。セシウムは本当にゼオライトに付着したままで離れて水中、大気中に飛ばないのでしょうか、放流された水から外洋に流され生体濃度を高め魚介類に影響を与えないのでしょうか。ゼオライトからセシウムが遊離することが証明されたら、行政側はどうするのでしょうか。

4月20日(土)午後2時から、長崎大学の小川進教授をお呼びして教育文化会館で講演会を持ちます。私たちはこの講演会に多くの一般市民、各政党、行政、他地方(東京・横浜・千葉など)の人たちと一緒に実際の放射線物質はどのようなもので、それがどのように一般市民の生活に影響をするものか、海面投下に問題はないのか、お話しいただきます。ただ行政の説明を聴いて、ああ飲料水と同じくらい安全であるならば、ゴミの焼却灰を海面投下しても問題はない、あるいは絶対反対ということでなく、まず実態を知り、具体的な方法(代替案)を提案していきたいものです。

1 件のコメント:

  1. 昨日の説明会に参加しようとしたのですが、来客等々で時間切れになりました。
     焼却灰の投棄は本当に心配です。試験管実験―海水での実験―コンクリートで囲いを付けて埋め立てというのが筋ではないかと思います。

     ゼオライトで吸着と言っても100%はあり得ないので、少なくとも海水が漏れ出ないようにしないとだめだと思います。食物連鎖は怖いと思います。江戸前の魚が汚染されるのは無視できませんし、’加害者’になるのはごめんです。
     10年ほど前に、東京都の日の出町の焼却処分場を見学したことがありますが、水はもれないし、灰は飛ばないようにしているので大丈夫との宣伝でしたが、周りの青木の葉はどれもが縮れていたのにはぞとしたことを覚えています。

     市議会は承認したようにありますが、会期末のどさくさに紛れて与党が強行したのではないかと推測していますが?

     文章を読む限りでは運動の進め方も、絶対反対ではなく、解決法を探りながら行く事にも賛成です。

     添付の資料のように、記念誌の準備をしていますし、6月2日に『平和をきずく市民のつどい』の準備も進めています。4月19日(金)7時~テクノ川崎で映画『シエーナウの想い~自然エネルギー社会を子どもたちに』をします。4月20日も予定が入っています。いけませんが頑張ってください。

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