2013年2月13日水曜日

市民の脱原発のネットワークをー「脱原発で市民連帯、核軍縮へ」


2月13日の朝日新聞は北朝鮮の核実験を事前に察知していたかのように、タイミングよく、「核が拡散する」という「耕論」コーナで核拡散問題を二人の識者に書かせています。朝日としては、オバマが掲げる「核のない世界」の「理想とは裏腹に、核兵器は拡散している。この先には何が待っているのか。関係国には何ができるのか」という問題意識らしいのですが、黒崎輝という若手の国際政治学者は、「脱原発で市民連帯、核軍縮へ」というタイトルで興味深い意見を提示しています。

著者は国家レベルではできない、「国境を越えた市民」のネットワークこそが、「民主的で開かれた社会をグラーバルにつくっていこうという機運を高め、市民が政治的な影響をもって脱原発を訴えていく。そうして各国が原発から自発的に撤退していき、核軍縮にも積極的に協力するシナリオを描きたい」と記します。

原発問題をエネルギー問題、環境問題と捉える傾向が日本では脱原発を主張する運動体や個人の中でも強いと感じます。しかし先日の武藤一羊さんの講演では、「潜在的核保有」国の日本がどのような(国民統合の)原理で動こうとしているのかという戦後日本の分析から、過去の大国の復興を願う勢力が、レジューム・チェンジを謀っているのでそれへの総合的な視点をもった闘いが必要ということを強調されました。すなわち、原発体制とは国家のあり方を一定の方向に推し進める要因になっているのです。

武藤一羊氏 講演会報告。氏の知見から多くを学ぶ。
日本の政治の3つの正当性原理を提示。①対米、②平和・民主勢力 ③戦前の帝国復帰 安倍はレジューム・チェンジを画策する極右であり、それへの闘いを総合的にする必要あり。 結論:②原理の運動の脆弱性が問題、それを再構築する準備をすべし。

第②原理の日本の伝統を生かし、かつその問題点(一国平和主義であったこと、植民地主義を直視してこれなかったこと、今も原発体制下で、アメリカと組み原発輸出を推進中など)を明らかにする運動をすべきだと思います。数を頼みにする戦術に終わらせず、②原理を深め、拡大していく作業が急務です。そのための学習会を武藤さんたちと計画します。Facebookより

新大久保で定期的に行われるようになった外国人への差別言辞に満ちた言葉をまき散らすデモの問題も武藤さんの考える視点からは、第③原理に行く着くということになり、第②原理をさらに徹底して深め実際的な運動を志す私たちとしては絶対に無視できないことになります。
日本の首都東京のど真ん中での信じられない光景に驚きます。
http://www.oklos-che.com/2013/02/httpwww.html

黒崎輝さんの論旨は明確です。
NPTには限界:1970年に発効した核不拡散条約(NPT)は、核保有を放棄する代わりに原発などの平和利用を受けられるというものです。しかし北朝鮮を見てもNPTには限界があります。NPTにはジレンマがあり、「原子力の平和利用」としての原発は「核燃料の為のウラン濃縮やプルトニウム抽出の施設は軍事利用に転用」できるのです。まさに潜在的核保有国というものです。

リスク減の努力:核軍縮と脱原発は無関係ではなく、「NPTが認めている原子利用とは別の道を探るべき」なのですが、福島以降も原子力を利用していこうという考えは、国際的規範としてある」ので、「それに異を唱えることは、政府レベルでは難しい」のです。だから国境を越えた市民レベルのネットワークによって、脱原発の市民連帯をつくり、「核軍縮にも積極的に協力するシナリオ」を描こうというものです。

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