リトアニアの国民投票
私たちはリトアニア国民が昨年10月14日、新たな原子力発電所建設の賛否を問う国民投票において約62%もの人が反対の意思表明をしたことを知りました。心から敬意を表し、強い連帯の気持ちを伝えたいと思います。
リトアニアの新政権について
イタル・タス通信によると、ブトケビチュス氏は首相承認前、「新原発計画の停止は国民の意思だ」との意向を表明しまた。しかしその後のブルーグバーグの報道においては、新政府はワーキンググループをつくり、エネルギー自立達成のためのコストを計算しながら、改めて原子力発電所を作る場合とそうでない場合の検討をはじめ、今年の3月半ばまでに公正な代替案をだし、5月15日までに議会にエネルギー自立戦略を提示すると話しています。そしてその中で日立は勿論、日立以外の原子力メーカーとも交渉をすると明らかにしています。(注:2月1日、JACSESの田辺さんからの情報で、産経新聞がさらに詳しく原発推進派の大統領と、新しく首相になった原発反対派の間で対立があることが明記されていました。コメントを御覧ください)
私たちはリトアニアの新政府が国民投票で明らかになったリトアニア国民の意思を尊重し、国民の意思と期待に背くことのない賢明なご判断をされると信じます。日本の福島で原発事故の恐ろしさを目の当たりにした全世界の人は、リトアニア政府が国民の側に立って原子力発電がなくとも生きていくという強い、歴史的なメッセージを全世界に発信することを願っているはずです。。
日立について
一方日立製作所は、リトアニアの国民投票の「結果を真摯に受け止めたい」としていたものが時間の経過とともにそのトーンを変化させ、12月25日のロイターとのインビューでは、中原宏明社長は新政権に対して「ちゃんと政策を実行してほしい」と注文を付け、特にエネルギー政策、産業政策、成長戦略の実行を求めるようになってきました。そして新年の所信として、前世界への原発輸出を倍増する夢を語っています。
フロントエンジニアリングの力と資金力によって更なる躍進を謀る日立は、リトアニア国民の声を無視してお金にものを言わせてリトアニア政府との交渉に臨もうとしています。しかし日立はいまだ福島原発事故の解明できずにいるのです。日立が誇る技術をもっと他の有意義な分野に使えないのでしょうか。ドイツのシーメンスができたことを日本の日立がやれないということはないと思うのですが、いかがでしょすか。
「シーメンス原発事業撤退までの経緯とドイツの電力事情について」http://matome.naver.jp/odai/2131639520219812001 )
日立の民族差別による在日青年解雇を謝罪し、過去においても差別の事実があったことを率直に認めた日立のことです。是非、ここは会社の収益だけを考えず、会社の歴史的な使命は何かということから原発事業からの撤退という英断をしてほしいものです。
日立製作所会長と社長へ抗議文ー「日立闘争」元原告 朴鐘碩
http://www.oklos-che.com/2012/06/blog-post_1634.html
日本の反原発の運動団体、個人のみなさんへ
3・11以降、これまでにない反原発のうねりが出来上がってきていることは事実です。小熊英二も新著でそのことの意義を高く評価しています。
歴史の不条理に立ち向かうということー原発体制は植民地主義という仮説
http://www.oklos-che.com/2012/12/blog-post_10.html
しかし官邸前のデモが再稼働反対にスローガンを一本化して多くの市民の参加を可能にしたという一面、反原運動がもつ多様な局面をみんなで自由に発言し共有化していくことに失敗したのではないかと私は内心思っています。まず一国主義を克服できず国際連帯運動の必要性を脱原発運動に関わるすべての人にアピールできなかったことは大変残念なことです。日本政府の原発輸出促進は民主党時代からの国策であり、菅元首相もヴェトナムに営業に行き契約に貢献したことはよく知られた事実です。
経済と安保(領土)問題の解決を謳い新たに政権を奪取した自民党は、今や再稼働にむかって着々と手を打っています。彼らが日立・東芝・三菱重工という原発メーカーを支えていくことは明白です。それは今年度の政府予算に「国内の原発メーカーが海外で原発を建設するための調査や人材育成に12億円をつけた」(朝日新聞、1月30日)ということでもわかります。どうして民間企業が海外で商売をするのに政府がその支援をするのでしょうか?
日本の原発メーカーはヴェトナム、ヨルダン、トルコの他、フィンランドやリトアニアにまで手を延ばしており、アメリカでWHが受注した4基の原発建設も実質的には東芝が受け持つものです。台湾第4原発も日立・東芝・三菱・GEが建設しながら、住民の反対運動に遭っています。環境問題の視点から世界に原発をつくるのは反対という立場もあるでしょう。しかしこの場合、日本は海外の国々、国民への加害者になろうとしているのです。それを止めさせようとするのは、日本での再稼働反対と同じように当然のことではないでしょうか。
アメリカ、イギリスが、日本に対して原発をつくって事故が起こってもメーカーは免罪されるという「原子力損害賠償法」(原賠法)を作らせたと言われていますが、江戸末期、開国を迫られた日本が20年後まったく同じパターンでアジアを侵略した、そのま同じ歴史が再現されています。日本は原発輸出をしても事故があっても責任はないという「原賠法」を相手国に作らせているのです。このことを反原発を掲げる人たちはもっとしっかりと意識化する必要があるのではないでしょうか。
私たちは今年、福島事故を起こした東芝・日立・GEを裁判にかけ、彼らの社会的責任を問います。全世界の人に原告になってもらう運動を拡げる考えです。世界の多くの原発に反対する人たちと連帯していきたいと心から願います。
産経ニュース
返信削除大統領VS首相 日立製原発に揺れるリトアニア
2013.1.9 19:52 (1/2ページ)
稼働を停止したリトアニアの原発。隣接地に新原発「ビサギナス原発」の建設が計画されている=2012年6月(共同)
【モスクワ=佐々木正明】日立製作所の原発建設計画があるリトアニアで、建設に否定的な意見が多数を占めた国民投票の結果をめぐり、政府要人の見解が真っ向から対立している。
推進派のグリバウスカイテ大統領は、十分な情報が提示されないまま国民投票が行われ、「国民は騙(だま)された」と強調。計画撤回を主張するブトケビチュス新首相を牽(けん)制(せい)した。首相は3月までに建設の可否について明らかにするとしている。
原発はバルト三国の共同プロジェクトで、リトアニア北東部ビサギナスに建設の予定。国民投票は、政策の参考にするとの位置づけで昨年10月に行われ投票率約53%で成立、否定派が6割超を占めた。
大統領は昨年末、地元紙のインタビューで「原子力は最も安いエネルギーだ」と指摘。リトアニアは裕福でない上に資源もなく、風力や太陽光発電に過度に依存することは「楽観的すぎる」と強調した。
大統領は国民投票についても、原子力以外の代替エネルギーのコストや、原発建設計画撤回後のエネルギー需給などの説明が不十分だったとし、「(原発否定派の)ロビイストの利益に結びついたプロパガンダが多かった。国民は騙された」と述べた。
一方、原発建設に反対する与党・社会民主党党首のブトケビチュス首相は今月4日、「国民投票の結果に誰も異議を唱えることはできない」と発言。原発建設の是非を含めた新エネルギー戦略を3月中旬までに作成し、他のバルト諸国にも提示する方針を示した。
ネベロビッチ・エネルギー相は7日、「(リトアニアは)エネルギーの6割を外部に頼っている」と指摘。原発建設計画にはバルト諸国が投資し、欧州委員会も支持しているとして、計画続行もあり得るとの見方を示した。