この東和史さんという方はまったくお会いしたことのない、ただFacebookだけで知っている方です。「在日」のことをよくわかっているかのように話し、「代弁」するような人は、実は私はあまり好まず、そのような人の話や文書をみるとむくむくと反発心が沸き起こり、お前に在日の何がわかるんだ、お前は自分のことを語れ、と言いたくなるのです。しかしこのお二人はそのような方ではありません。これからネット上での対話を通して問題点が明らかになるようになることを願います。またいつか、お会いすることもあるでしょう。なお、Facebookは本名使用が原則で、写真を含め全て公開されているものなので、そのままを掲載します。
東 和史
今日、ペ・ジュンドさんに講演後、「民族と地域は納得が行きますが、民族は国家を必要とするものでしょうか?」と聞いてみた。ペ・ジュンドさんは笑ってくれた。哲学者にできることは、活動家、実践家を笑わすことができるのがせいぜいだ。青丘社の理事長になられているペ・ジュンドさんは、終始ぼくに温かかった。12月15日、水道橋韓国YMCAでの新入管法の研究会に誘っていただいた。ぼくも助けたい人がいる、そうして人生は動き始めた。一生懸命しゃべれば、分かってくれる人がいる。今日はそういう日だった。
東 和史
きょんほくんの言うように多様性を多様性として認められることが大事だと思います。今日の理論的にコリアン・ネットワークを位置づける話だってかなり複雑な気がしました。単純に割り切らない、ぼくだって、オーストラリア帰りでフランスに1年行ってた元帰国子女で日本国籍で、ということを一言でまとめることばなんてありませんね。おまけにモンゴルへのこだわりもないわけじゃない、自分が何者なのか、知っていく過程がそのままアイデンティティとして大事なんだろう、という話だったと思います。
Seungkoo Choi
民族って実態があるのでしょうか。「民族と地域は納得」がいくんですか、私はそんな簡単な問題ではないと思います。民族主義者、団体は地域の変革に関わりますか?実態として民族に関わる範囲のことしか、その枠内でしか行動・要求をしていませんね。それが多文化共生の限界です。多文化共生は結局、国民国家を前提にしているのです。私は多文化共生は、現代の、植民地をもたない植民地主義のイデオロギーだと考えています。行政に依存し多文化共生を唱えるNPOが、地域社会のあり方に関して住民として、行政にものが言えるのでしょうか?そんな姿勢がそもそもありますか?
東 和史
ぼくが考えるに、社会的マイノリティの民族性を否定しないこと、民族をひとつの核にして生きていくことは、心情的にも戦略的にも是だと思います。加えて川崎の桜本のような地域性にはシンパシーを持ちます。地域から出発すること、あまり大きく広がらないこと、グローバル市民とか、コスモポリタンとかはあまり信じません。歴史性を西洋化されたコスモポリタンよりは重要だと思いたいです。
ただし、国民国家を超えた、ネットワークの模索については、今日の研究会で示唆を受けました。たしかに、ペジュンドさんがおっしゃっていたようにおもしろい。玄武岩先生の発表には違和感も持ちましたが、もう少し検討してみたいと思います。ナショナリズムを超えるにはある程度の理論化、西洋化は避けられないのか、とか。
Seungkoo Choi
ありがとうございます。私は日立闘争のあと、その桜本の青丘社の初代韓国人主事でした。シンパシーをもっていただけるのはうれしいのですが、過大評価をなさらないように。共に生きるって、その課題は何でしょう。3・11以降、川崎に同規模の地震・津波が来れば桜本は火の海になることがわかってきました。 民族の枠が、在日団体や多文化共生を謳うNPOが地域社会の変革に関われない要因になっているということに気が付かれませんか。
http://www.oklos-che.com/2012/09/blog-post_21.html
http://www.oklos-che.com/2012/11/blog-post_6.html
Seungkoo Choi
マイノリテイ問題なんてなくて、マジョリティが勝手につくってるってご存知ですよね。
(ここで東さんから「いいね」マークがはいり、同意の意思表示がなされる)
東 和史
いわゆる原発イッシューは多くの人の、民族の垣根を越えることでもありますね。しかし、日本人の日本人性は右派の総決起とまで思える今度の選挙でも明らかな気がします。それとともに、原発容認の流れがあることも憂慮すべきことではあります。玄武岩さんのおっしゃっていた、リベラル・ナショナリズムという新しい用語がたしかに今の日本の状況を言い当てている面もあると思います。
それへの対抗措置としては、たしかに、Choiさんの戦略が正しいかもしれません。ただし、「人間は太陽も死も見つめ続けることはできない」という言葉もあります。常に脅威だけ、用語は悪いですが、恐怖政治では人間は動かないと思うのです。安心のないところにも安心を求め、セキュリティーマンションが原発汚染のなかで次々と建築される地獄のなかを我々は生きているのではないでしょうか。
Seungkoo Choi
「脅威」「恐怖政治」と現実を直視することはまったく異なります。川崎は毎日出るゴミや下水道汚泥の焼却灰も高い放射線量のために処理できず臨海部に積まれたままです。これを「脅威」というのであれば、何があっても観念の世界で現実を直視せず、「楽しく」「仲よく=共生」生きようということですね。
そんな馴れ合い、はまっぴらです。在日は、自分が住んでいる川崎、桜本がこのような危機的な状況にあるのに、北も南も、共生派もなんら当事者として動こうとしないのは何故だと思いますか。その根底には民族、国民国家の枠が自分たちを縛っているからです。それを美化するのはやめてください。観念的な陶酔や美化はパターナリズムと表裏一体であることをお忘れなく。じっくりと考えてお答えください。
東 和史
Choiさん、おっしゃる通りでしょう。正しいことが通らない、明らかな現実を直視できない人間をどうしたらいいのでしょうか?動こうとしない人のデモクラシー、でも、地方参政権も今のところないですし、無力感のなかで民族性に縁を求めている、という人が多いということでしょうか。Choiさんは、明らかに新しい人間の流れを作ろうとされていると思います。自分はまだまだ今日のシンポジウムが出発点だと思っていて、まだまだ分からないことが多くあります。
生活者、下からの変革が可能なように、上からの啓蒙と糾弾ではない方法がいかに可能でしょうか。観念的な陶酔、美化はないとは思いますが、ぼくはペジュンドさんが好きです。なんか知らないけど、好きなのですね。今でも新しい時代の息吹を感じようとシンポジウムに参加される姿勢は大事なものだと感じます。今はリーダー不在の時代かもしれません。先の世代から学べることを学びたいという思いはあります。
Seungkoo Choi
他人をどうしたらいいのかということを議論する用意は私にはありません。地方参政権などなくてもいくらでも政治に参加する道はあります。形骸化した地方参政権の社会に埋没したいとは思いません。そんなもので社会を変革できないということはとっくに皆さん、日本人はわかっているのではないですか。「上からの啓蒙と糾弾でない方法」それは、現実を直視し、馴れ合いを廃止し、一人孤独から始まります。私はそのシンポジウムなるものがなんなのかわからないので何とも申し上げようがありません。そこでは地域の多文化共生の実態、民族の枠を破ることが話されたのでしょうか?
東 和史
国家の枠を超えるコリアン・ネットワークのお話はありましたが、民族の枠を超える話はありませんでした。東大というところがどういうところか、少し考えるのですが、最初の挨拶で、「私は日本という国家が好きです、そしてそれがよくなることを願っています」という発言はありました。しかし、田中宏先生などは、政権批判、政策批判、外交批判など多岐に渡りました。しかし、民族は批判の対象にはなりませんね。
Choiさんの、孤独ということばから、『ルソー孤独の政治学』というレイモン・ポランというソルボンヌの昔の総長の本を思い出しました。自分は約10年、一人でいることが多く、孤独はつまらんと思っています。なれ合いでも人といる方がいい面もあるのではないでしょうか。ともあれ、レポートを書いていて遅くなりました。お休みなさい。
Seungkoo Choi
私のいう孤独は、金時鐘が私に話してくれた表現でいうと「群れるな」ということです。孤独を恐れず、我が生きる道を歩む、「単独者」の生き方です。なれあいの場では水が淀みます。在日の思想は(観念論としてではなく)現実の場で検証されなければなりません。日立以降の地域闘争の後、「共生」という単語が出てきました。これは差別に抗する在日の生き方を表したものです。
しかしそれは行政によって統治概念になりました。川崎の運動側が主張する「多文化共生」という「思想」は今現実の中で厳しく検証されなければなりません。今、その検証軸が3.11以降、決定的に変わってきたという認識を持っています。日立闘争の当該(
である朴鐘碩)が日立入社後、どのような生き方をしてきたのか、そして円満退社した後、日立の経営者に原発問題に物申していることをご存知ですか。
私のことで言うと、3・11以降、「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」(CNFE)の共同代表、今は、モンゴル、韓国、台湾、アメリカ、日本とでNo Nukes Asia Actions(NNAA)の日本の事務局長をしています。詳しくは私のブログをお読みください。http://www.oklos-che.com/
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