2012年9月24日月曜日

がん治療の常識への挑戦者、近藤誠の最新の論文を読んで

これまで近藤誠の本はよく読んできました。昨日、文藝春秋10月号で「先進医療」はカネの無駄」、見出しに「粒子線治療と免疫療法。「先進」とは名ばかりの実態を暴く」とあり、めったに買わない文藝春秋を買い読んでみました。なるほど、彼はいつも私たちが常識と思い込まされているガン治療についての「盲信」に気づかせてくれます。一見過激のようで、豊富な海外のデータを示しながら、大変説得力のある理論(仮説)を展開します。彼は薬や治療法が「効く」というのは証明されたのか、その根拠を問うのです。死亡率に差があるのか、「効く」と思い込むことで一定の効果がでたものなのか(プラシーボ効果)厳密に問います。

この態度は医師に対して手術方法を選択する時に有効ですので、是非、みなさん、その節は試してみてください。近年でも義母が腸ガン手術を受けるとき、内視鏡による手術と実際のメスをいれる手術の選択を迫られたとき、後者を薦める医師に死亡率、QOL(Qoality of Life)にどうような差があるのか尋ねると医師は答えられませんでした。そこで私は義母に術後の負担が少ない内視鏡による手術を薦めました。その選択は間違っていませんでした。

そのような例は私個人の「舌癌」の疑惑のときにもありました。医師とやりやい、医師の曖昧で患者を惑わすような言い方を質したことがありました。癌に見える「異物」が正常細胞とどのように違うのか、それをどのような根拠で「ガン」と判断したのか、医師は曖昧な答弁に終始しました。

私見では近藤誠の理論(仮説)のポイントは以下の2点です。癌には本物の癌と癌と思われる「がんもどき」があるという仮説と、それを前提にして、日本の外科医は何でもがんであればすぐに根こそぎ切り取ってしまうが、治療法は多様であって、放射線治療と抗がん剤治療及び「放置治療」(「がんもどきであれば原則、放って於いても死ぬことはない)があるということです。そこから日本の医療界で常識になっている手術万能主義や、早期発見(早期治療)、検診制度(結核の早期発見体制の延長)や抗がん剤の暗黙の強要というあり方を批判します。

私は二度にわたる妻の乳癌の手術を見守り、リンパ腺から下の筋肉まですべて根こそぎ切り取るハルステッド法を薦められ、転移しないためという説明で医師を信頼して妻はその手術を受けたのですが、後で近藤誠の本を読み、そのときすでに欧米では乳房全体に放射線をかける「乳房温存療法」が主流であることを知りました。術後、当然のこととして転移しない為と言われ「買わされていた」薬が実はダブルブラインド法によって効果が証明されたものではないということを知り、妻に呑まないように薦めたことがありました。妻は迷ったあげくその旨を担当医師に話したところ、「ああ、いいですよ」で終わり、あっけにとられた経験がありました。

その時以来、私は医師の言うことをそのまま信じることはなくなりました。専門知識はなくとも自分なりに本を読み、医学会の「常識」はそのまま信じてはいけないと考えるようになりました。ブログでこれまで近藤誠を2回とりあげましたが、参考にしていただければ幸いです。

2010年12月22日水曜日
近藤誠『成人病の真実』のお薦めーこれは絶対です!
http://www.oklos-che.com/2010/12/blog-post_9935.html

2010年12月17日金曜日
近藤誠は生きていた!-「がんもどき」理論の最終見解について
http://www.oklos-che.com/2010/12/blog-post_17.html

今回の近藤誠の論文は、今、保険会社などで売りにしている放射線治療の先を行く(と言われている)「粒子線治療」と、リンパ球などの「免疫細胞」を治療に使う「免疫細胞療法」のおかしさを明快に指摘します。結論から言えば、前者はこれまでの放射線治療と変わらず、高いお金を払う必要はまったくないというものです。むしろ放射線治療が日陰の身に追いやられ、外科手術ができないときか、手術を主とした添え物的な治療方法になっていることが問題なようです。舌癌でも手術で切り取らないで(検査の為に舌をすこしだけ切り取られとき、どれほどその後苦労したかの自分の経験からしても)、「小線源治療」という「放射線同位元素」を一時的に舌に刺入する方法が有効だという近藤の説はなるほどと思います。

「免疫療法」はその言葉に騙されいかにも今までのやり方とは違うと思わされますが、そもそも「自己」であるがん細胞を「非自己」と認識することが「免責細胞」に可能なのかという原理のところで近藤は「免疫治療」を切って捨てます。癌細胞が数百個のときであれば「免疫細胞」の導入で効果があるかもしれないが、「がんと診断された患者の体内には、最低でも十億個の細胞があり、末期がんともなれば兆個に近い」状態では、そもそもが癌細胞を退治できるということはありえない、という説明です。私はその説明に納得します。

宣伝や医師の言葉をそのまま信じることに慣れなされた人にとっては近藤誠はいかにも「うさんくさい」医師に思えることでしょうが、それは私たちの考えが、「日本だけの特殊現象」を世界の常識と思わされているからです。
文藝春秋を買わないまでも図書館ででも立ち読みされることを薦めます。




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