2012年2月25日土曜日

石原東京都知事、河村名古屋知事の発言を擁護ー「南京大虐殺」違う

共同通信は24日の19時に、「石原知事、河村市長発言を擁護 「南京大虐殺違う」」という見出しで、「河村君の言うことが正しい。大虐殺は違うと思う」、その根拠として、「(南京が)陥落した2日後か3日後に日本の代表的識者が入っている。彼らは『死体はあったけれど山と積むような死体なんて見たことない。けげんな話だ』と言っていた」ということをあげています。

河村も石原もこの人たち人間としておかしいなと感じるのは、例え正確な死体の数はわからなかったとして、そこで日本兵に殺害された南京の人々がいたことは認めているのであり、そうであるならば、まず、死体の数は定かでないが、日本兵が一般の民間人を虐殺したことは事実であり、そのことはいくら戦争中であったからといって許されるものではない、まことに申し訳ない、とコメントするのが当たり前ではないでしょうか。

今手元に『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』(渡辺良三 岩波書店 2011)があります。渡辺さんは「おわりに」で、「年月を経ると共に、社会思潮も変化し、戦時中の悲惨を語っても殆どの人は驚かなくなり、南京大虐殺にさえ全く無反応と時代になってきている。」と記しています。大学生のときに徴兵で中国に送られ、そこで最初の訓練として中国の八路軍兵士数名を肝試しで刺し殺せと命令され、キリスト者の彼はそれを拒んだところ、ずっと軍内でリンチに遭いつづけたそうです。軍服に便所で書き込んだ紙を縫い込んで帰国した彼は、それでもその歌を公にするのに40年かかっています。

「はじめに」にこの2首があります。
いかがなる理にことよせて演習に罪明からぬ捕虜殺すとや
生きのびよ獣にならず生きて帰れこの酷きこと言い伝うべく

捕虜を殺すのは国際法上禁止されていることです。しかしそのような「常識」は狂気の日本軍にあってはまったくのたわいごとであったのでしょう。このような小さな「南京事件」は無数にあったのです。河村や石原が単に南京事件の死人の数だけを問題にしているのではありますまい。彼らは日本軍がこのような侵略・虐殺をおこなったことを正当化し、戦争だから、日本は石油がなかったから、欧米列強との対抗上仕方がなかったからなどと嘯くのでしょう。植民地支配そのものを肯定しているからこそ、南京事件の殺戮された人の数を問題にし、翻ってそのような「大虐殺」はなかった(「小虐殺」はあったかもしれない?)というのでしょう。彼らは決して心から日本の植民地支配を悔い改めているわけではないのでしょう。

日本を代表する大都市東京と名古屋の首長のこの開き直りに、中国政府も対応に苦しんでいるのかもしれません。しかし中国民衆は決して許さないと思います。私には、この時期に、この二人がこの発言をするのは決してたまたまの出来事ではなく、十二分に計算されしつくしたものだと思われます。この中国を批判する発言が、ナショナリスティックは心情をもつ日本人の間でどのような反応があり、それが自分の政治家としての立場にどのように有利に働かくか、計算したのでしょう。はたして橋下大阪市長は参戦するのでしょうか、様子をみるのでしょうか。

「脱原発かわさき市民」の仲間から以下のメールが届きました。河村名古屋市長の南京事件に関する発言に抗議するものです。

以下のような名古屋河村市長発言に対する抗議書が届きました。

転送・転載歓迎です。

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いつもお知らせいただきありがとうございます。20日夜に河村市長発言を知り、南京の友人たちに連絡しました。研究者や関係者、友人、市民はほんとうに怒っています。 一年に2回南京で必ず交流会でお会いする南京の幸存者たちの気持ちはいかばかりかと心配しています。河村発言は恣意的であるだけに政治臭さも感じられ、日中関係の悪化に背筋が寒くなります。

河村発言に抗議書を発信し、南京の仲間や歴史認識を深める運動団体や個人にも発信しています。
お仲間に転送していただけたら嬉しいです。        

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                            2012年2月21日
河村たかし 名古屋市長 様
                       「銘心会南京」友好訪中団
                          代表松岡環(電話・ファックス 06-6628-8172)

 抗   議   書

名古屋市の河村たかし市長は20日、同市役所を表敬訪問した中国共産党南京市委員 会の 劉志偉常務委員らとの会談で、旧日本軍による「南京大虐殺」について「通常の 戦闘行為は あったが、南京事件はなかったと思っている」と発言しました。

私たち「銘心会友好訪中団」は貴方の今回の発言、そして過去にも同じ虚偽の南京大虐殺否定発言を繰り返すなどの問題発言に、南京大虐殺歴史調査(加害兵士と被害者)や証言集会に携わってきた私たちは強く抗議いたします。

貴方は南京大虐殺に象徴されているような日本の侵略戦争を認めることができず、疑問を持ち、かねてからの持論をこともあろうに友好姉妹都市から来られた劉志偉常務委員らとの会談で、虚偽発言をしました。

貴方は、私人ではなく公的な会談の場で、裏づけもなく右翼がでっち上げる誹謗中傷の言葉である『南京事件=南京大虐殺はなかった』とあきれるばかりの暴言を放っています。

貴方は、単に歴史認識に疎いだけではなく、アジア諸国の人々に対しての偏見を持ち、人権感覚に欠けた放言をしています。このような発言は人間として許されるものではなく、まして政治家であれば、絶対にこのような軽率な言動は日本の国益をそこなうものであると知らなくてはなりません。まして、名古屋市は南京市と30年来の友好都市提携を結んでいて隣国との歴史の認識や善隣友好を第一義にし平和的な外交関係を確立するために、先人が努力してきたはずです。

しかし、貴方の発言は後ろ向きであり、非常識極まりない発言でした。南京大虐殺は日本の侵略戦争の中でも最も残虐で象徴的な惨案(残虐事件)の一つであります。中国の民衆にとって、侵略の象徴である南京大虐殺を否定されることは「中国の歴史」のみならず「中国人そのもの」を否定されることと何人もの中国の友人が常々言っています。

75年前とはいえ、未だにその後遺症に苦しみ、肉親を奪われ苦しみに耐え暮らしている人々が隣国にたくさん生活しておられます。そのために、日本人や政治家の歴史認識が、世界の常識とかけ離れ非常識極まりない発言を繰り返すたびに、南京大虐殺の被害者や遺族の皆さんたちは、大きな痛苦を感じてこられました。
日本が好戦的な姿勢を正し、歴史の事実を認識し、被害諸国への心からの謝罪と次代への正しい教育を実施してこそ、世界の中でも尊敬される国へと変化できるものと確信しています。

私たち「銘心会南京」友好訪中団は、貴方の暴言・態度に心からの怒りを感じ、ここに強く抗議いたします。その姿勢を改め問題発言を撤回・謝罪されることを要求します。

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