2011年11月2日水曜日

モンゴルにおける反原発運動の一断面ーウランバートルにて(その1)

11月1日に荒野の真ん中に位置するジンギスカン国際空港に着きました。20度を超える暖かさだったソウルから零下の世界です。私の名前を書いた看板を掲げて迎えて下さったのはSさん、モンゴル緑の党の指導者の一人で、「For Nuclear Safe Mongolia」運動の責任者です。ご夫婦ともドイツ留学組で、御本人は子供を育て終え、女優業にカムバックされたとか。その夜の緑の党党首との食事をしながらの会談、今朝の緑の党きっての理論家との興味尽きない話し合い、今夜の地域社会運動と直接民主主義運動のリーダとの食事会の設定、モンゴルでの記者会見と日本で発表する声明文の検討などの打ち合わせ、そして市内観光と何からなにまでお世話になりました。

今朝のMeetingは緑の党きっての理論家で、主に政府への具体的な提言や今後の選挙戦略を担当されているB氏は、アメリカと日本大使館のデモでビザ発行を禁止されている活動家でもありました。ドイツに10年留学し、毎日BCCやドイツ、アメリカのニュースを観る氏は、まだ若く、50代に届くかどうかの世代でした。モンゴルの置かれている貧困状況を「先進国」の植民地主義によるものと捉える鋭敏で正確な知識に基ずく分析と政策・行動案には目を見張るものがありました。

そのなかで私が初めて知った事実をご報告しましょう。写真は、モンゴルに輸出されてきた日本からの中古車が放射能に汚染されていたというモンゴル新聞に載せられていたものです。水で洗い流し、買主に引き渡されたそうですが、フクシマの放射能汚染地域に放置された中古車を海外に輸出したふとどき者がいるということですね。しかし逆に考えると、日本国中、そのような放射能に汚染された車や、鉄くず、ごみが至るところにあるということですね。アメリカの学者によるとフクシマを中心に今後、多くの死亡者がでるだろうと言われているそうです。新生児が奇形で生まれる可能性もあり、本当にいたたまれない気持ちです。

それと韓国とモンゴルの関係の深さにも目を見張ります。日本にベトナムの責任者が来て正式に原発輸出の契約をしたというニュースも腹立たしいですが、韓国はアラブに続いてモンゴルにも原発を建設する計画らしく、モンゴルが選定した3ヶ所かそれ以外の場所がいいのかを年内に調査を終え決定し、2020年まで完成させるそうです。それが韓国のどの企業かまだ公にされていないそうですが、韓国国内での建設反対運動が起こり、来年の大統領選挙のときに中断を決定させてほしいものです。


さらに驚くべきことは、モンゴルでつくられる原発の電気は全量、中国が買い取るというのです。原発のある場所には中国の軍隊が派遣されそこをコントロールし、事故に備えるというのですが、一度事故が起こればどうなるのかわっていて言っているのでしょうか。それは植民地主義そのものではありませんか。独立国を植民地主義国家が跋扈して自分の経済発展のために他国をも思うがままに使い捨てにするというのですから。

日本のポスト・コロニアリズムの学者の本は抽象的でよくわからない印象をもっていましたが、モンゴルに来てみると世界の植民地主義の実態がよく見えます。日本、韓国という「成り上がり」が世界の先進国の仲間入りをして隣国を食い物にしようとしているということが実感としてよくわかります。

モンゴルの原子力関係のビジネスを仔細に報道するサイトはアメリカで運営され、世界各国の協力をえながら情報発信していることを知りました。
http://golomt.org/2011/10/business2/というサイトです。
モンゴルの政治家はアメリカ、フランス、インド、ソ連、中国、日本、韓国、カナダ、アラブなどの「先進国」を訪問し、ウランの発掘、原子力の「平和」利用についての全般的な協力関係の樹立を高らかに宣伝しています。これは世界の「先進国」が虎視眈々とモンゴルのウランにねらいを定め、ウランを採掘、加工し、原発や核兵器に利用しようとしているということです。現在1%ですが、世界のウラン採掘のいずれ15%はモンゴル産ということになりそうです。

モンゴルとのウラン加工の技術協定というのに日本も力をいれていますが、これは鉱石で現在ソ連に輸出しているものを、現地で加工してより純度の高いものにして付加価値をつけて売るということです。人間はそれがなにをもたらすのかわかってやっているのですから、小出さんが書いているように、人間という動物は生き残るのにふさわしい種かどうか疑うということがよくわかります。本当に、人間って馬鹿ですね。

モンゴルの緑の党はアジアで最も最初に創設されたそうです。20年前の社会主義国家から「民主主義」国家の仲間入りをする際に作られた憲法には、彼らの主張が取り入れられ、環境の重要性を謳ったそうです。現在、先の選挙では10%の支持率を得たそうです。来年の選挙では更なる躍進が期待されます。彼らならやり遂げるように思います。

それにしても私が韓国、モンゴルに来て原発に反対する人に多く会いましたが、みな口をそろえてアジア諸国の連帯を唱える私を気持ちよく受け入れてくれました。そしてその必要性を当然のことと理解し、具体的な行動の提案が合意されました。日本での11日の記者会見でどのような声明文がだされるのか、われながら楽しみです。

ホテルの一室で遅い昼食をとりながら(日本時間で3時を過ぎていますね!)

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